夏のからだにうれしいお酢と、夏野菜を一度に摂れる万能保存食の代表がピクルス。
ただ、ピクルスもつくり方はさまざま。代表的なのが、お酢のみorお酢以外に水やワインなどを入れてつくるケースです。
これ、どんな味の違いがあるのか、気になりませんか?
そこで、4とおりのつくり方に挑戦し、それぞれの風味や食感の違いを探ってみました。どれが自分好みか、ぜひ見つけてみてください!
それではまず、お酢のみで、「加熱あり」と「加熱なし」でくらべたケースから発表しましょう。
ちなみに、ここでいう加熱ありとは、調味液を一度鍋で沸騰させ、調味液が温かいうちに漬け込む方法。
加熱なしとは、調味液を一切加熱せずそのまま材料を漬け込む方法です。
また、通常はしっかりと保存すれば家庭で漬けても1週間は楽しめるピクルスですが、今回は味や状態を確認するため毎日開栓するので、3日を目安に風味や漬け込み具合をそれぞれ比較しました。
調味液に余分な水分が流れ出すのを防ぐため、漬ける前にきゅうりは塩振りし適度に脱水しておきましょう。
■1:お酢のみ(加熱あり)で作ったピクルスは風味が強い!
[材料]
・お酢 400cc
・砂糖 大さじ3杯
・塩 小さじ1杯
・ローリエ 2枚
・唐辛子 1本分(種は取り除く)
・粒黒コショウ 6粒
・きゅうり 3本(両端を切り落とし三等分、更に縦に半分)
・ニンニク 1片(芯は取り除く)
[評価]
お酢だけをベースにしているので、水を加えたものよりもお酢のピリピリ感は強め。
お酢のサッパリ感が楽しめるため、砂糖と塩を増やし味つけを濃くすれば油っこい肉料理やハンバーガーのつけあわせにとても合いそう。
1日目はむせるほどお酢の香りだけを強く感じますが、3日目は加熱の効果もあってか溶け出したニンニクやスパイスの香りも混ざり合い、とても刺激的な仕上がりになりますよ。
■2:お酢のみ(加熱なし)で作ったピクルスは刺激が強い!
[材料]
・お酢 400cc
・砂糖 大さじ3杯
・塩 小さじ1杯
・ローリエ 2枚
・唐辛子 1本分(種は取り除く)
・粒黒コショウ 6粒
・きゅうり 3本(両端を切り落とし三等分、更に縦に半分)
・ニンニク 1片(芯は取り除く)
[評価]
調味液を加熱せず、お酢に塩や砂糖をよく溶かしてから材料を漬け込む方法なので、きゅうりに余計な熱が加わらず食感はシャキシャキ。色合いもほぼ変化せず鮮やかな緑色。
加熱していないのでお酢のツーンとした酸味も香りもダイレクトに感じられますが、爽やかな見た目も重視したいのならこの方法がおすすめです。
1日目はお酢の刺激がとても強く、食べる際も少し苦痛を感じますが、3日目になると調味液がきゅうりにほどよく浸透し、水分と調味液がバランスよく調和していました。
しかし加熱していないお酢はやはり刺激が強く、刺激に弱い方や子どもには不向き。「酸っぱいものが大好き!」という方にはピッタリだと思います。
次は、調味液を加熱したお酢に、白ワインや水をプラスアルファしてくらべてみました。
■3:お酢(加熱あり)+白ワインで作ったピクルスは本格的な味!
[材料]
・白ワイン 200cc
・お酢 200cc
・砂糖 大さじ3杯
・塩 小さじ1杯
・ローリエ 2枚
・唐辛子 1本分(種は取り除く)
・粒黒コショウ 6粒
・きゅうり 3本(両端を切り落とし三等分、更に縦に半分)
・ニンニク 1片(芯は取り除く)
[評価]
ピリピリとしたお酢の刺激はあるものの、ワインの風味が程良く調和し舌の奥で旨味を感じられます。
白ワインの成分により漬けた初日からきゅうりが黄みがかった茶色に変色。色みも風味も市販のピクルスに近く本格的な味。
初日はワインの香りが強く感じられましたが、3日目になると丸みを帯びた風味になり、鼻から抜けるワインの香りもクセがなく心地よい感じ。
ただし、煮切りをしてもアルコール分が残っている場合があるので、子どもやドライバーにはおすすめできません。
また、調味液を加熱する際、白ワインとお酢が混ざってかなり強烈な匂いを発します。
換気ができる環境でも、立地によっては換気扇から出る匂いでご近所に迷惑がかかるかもしれません。充分にご注意を。
■4:お酢(加熱あり)+水で作ったピクルスは爽やかな味!
[材料]
・水 200cc
・お酢 200cc
・砂糖 大さじ3杯
・塩 小さじ1杯
・ローリエ 2枚
・唐辛子 1本分(種は取り除く)
・粒黒コショウ 6粒
・きゅうり 3本(両端を切り落とし三等分、更に縦に半分)
・ニンニク 1片(芯は取り除く)
[評価]
水が加わることにより酸味や刺激はやや控え目なので、お酢の刺激に弱い方にもお勧め。
砂糖を増やしてさらに甘味を加えれば、子どもからご年配の方まで幅広い年齢層に好まれる仕上がりになりそう。
初日は漬け込みを感じられるほどの食感はなく、感覚としてはピクルス風味の浅漬けのよう。3日目になるときゅうりと調味液の一体感が感じられ、爽やかに漬け込まれたピクルスといった仕上がり。
それぞれの総評をまとめると、以下のとおりです。
[1]お酢のみ(加熱あり)・・・お酢の刺激に加えスパイスやニンニクの風味も強く出るため、肉料理や食事の副菜にピッタリ。お酒のお供におすすめ。
[2]お酢のみ(加熱なし)・・・お酢の刺激がダイレクトに伝わりますが、きゅうりのみずみずしさが損なわれないためサラダ感覚で楽しめる。お酢の刺激に弱い方には不向き。
[3]お酢(加熱あり)+白ワイン・・・白ワインの香りが強いので、こちらもアルコールの好きな方やお酒のお供におすすめ。子どもには不向き。
[4]お酢(加熱あり)+水・・・お酢の刺激がマイルドなので、子どからご年配の方まで幅広く楽しめる味。胃への負担も軽いので前菜にもおすすめ。ただし、水を加えているため保存目的には不向き。
もちろん、白ワインや水以外にも、フルーツビネガーで漬けるもよし、砂糖を甜菜糖に変えるもよし、季節や好みによって甘味や塩分を強くするもよしです。
ぜひ自分の好みに合ったピクルスを楽しんでみてくださいね。
(文/池田モモ)