きょうご紹介したいのは、『仕事ができる人はなぜハンカチを2枚持っているのか?』(西松眞子著、日本実業出版社)。
幅広い分野において多数のコンサルティング実績を持つ「対外的・戦略的イメージコンサルタント」である著者が、気くばりを戦略として身につけ、自己演出として活用する方法を解説した書籍です。
「モノ」「ことば」「会話」「見た目」「仕事・対人関係」など、さまざまな角度から気配りの仕方を説いた視野の広いアプローチが魅力。
第6章「行動・しぐさの気くばり」から、「線を意識して動く」をご紹介しましょう。
私たち日本人は欧米人にくらべると、派手なアクションが苦手。
ただし、思いを伝えるためには、少しでもいいから自己演出をしてみることも大切。それもまた。気くばりのうちだと著者はいいます。
そして、そんな考え方に基づいて紹介されているのが、実際に研修で紹介しているという「好かれる人の3つのしぐさ」。
それはいったい、どのようなものなのでしょうか?
■1:ワイドの動き(WIDE)
気持ちを人に伝えたいときは、積極的に、ややオーバー気味に手を広げるようにすることがポイント。
なぜならそうすれば、動きに躍動感や華やかさが出るからです。
日本人は身振り手振りが小さく、自分では「大げさで恥ずかしい」と思ってしまいがち。でも周囲から見れば、それほど目立っていないことがほとんどだといいます。
■2:左右対称の動き(SYMMETRY)
左右対称であることは、美しい動作の基本。見た目にバランスがよいので、心理的にも安心できるということです。
逆にバランスが悪いと、見た目がかっこ悪いだけではなく、人格が崩れていると受け取られがちだとか。
■3:曲線(CURVE)
直線的な動きには無駄がなく、力強いイメージがあります。
そして目の前の相手に向けて手を動かす場合は、曲線を意識することが重要。特に男性が曲線を取り入れると、好感度がぐっと高まるもの。そして人間関係に効くのも、この曲線の動きだと著者は記しています。
たとえば書類を渡す際でも、ストレートな動きで手を突き出すように伸ばして渡すと、つっけんどんな印象を与えてしまいがち。女性なら服装が女性らしくとも、性格が雑で、おおざっぱに思われるものだといいます。
その点、曲線の動きはやわらかな印象を与え、調和を印象づけるもの。ふんわりと山をつくるように書類を渡すと、受け取る方も穏やかな気分になれるそうです。
また、なにかを聞く際にも、相手に手を向けるときには、いつもよりゆったりと、カーブを描くように動かすべき。その方が、相手も緊張せず話がしやすくなるからです。
*
つまり、人に好かれる人、周囲から一目置かれる人は、しぐさにも好かれる要素があふれているということ。相手を思う心が、しぐさや動作に表れるのです。
こうした所作を自然に身につければ、相手の信頼を勝ち取ることができるかもしれません。
(文/印南敦史)
【参考】