「自分の睡眠データ」を貯めることは、睡眠改善の第一歩。
そう主張するのは、『“ぐっすり”の練習ノート』(白濱龍太郎著、実務教育出版)の著者。
たとえば「前夜にビールあ杯以上飲んだ翌日の午前中は眠気がひどい」「朝食を和食にした日の夜は寝つきが早い気がする」など、“眠り”について気づいたことを本書の「睡眠ログ」に記録していくことで、自分にとっての快眠の黄金パターンを構築しようという書籍です。
実際に記入できる「睡眠ログ」が豊富に掲載されているため、日常生活で多いに役立てることができそう。
しかしそれ以前に、「睡眠時間」についてきちんと知っておきたいところではあります。
そこできょうは第3章「今夜から始める“ぐっすり”のカイゼンから、睡眠時間に関する記述を引き出してみたいと思います。
■最適な睡眠時間は「6時間30分前後」
パフォーマンスが最大になる最適睡眠時間は、自分で試行錯誤しながら見つけなければならないのだそうです。
たとえば、「23時までに寝る」というような一定のリズムをつくっておく。
そこから、睡眠ログを参考にして“黄金の生活パターン”を実行し、翌日にいちばんスッキリする睡眠時間を確認していくわけです。
地道な作業ですが、これが自分の最適睡眠時間を見つける唯一の方法なのだそうです。
ただし、そうはいってもひとつの目安として意識しておきたいのは、「6時間30分前後」という時間だとか。
というのもこれは、人間がもっとも長生きするといわれる睡眠時間なのだそうです。
つまり、これだけ寝ておけば、大幅な睡眠不足になる心配はないということ。
なお不眠症の方は、逆に「朝起きる時間だけ決める」ことが有効だといいます。
なぜなら、きっちり寝る時間を決めてしまうと、かえってストレスになってしまうから。
それよりも、眠くなるまで寝室に行かないと決めてしまうのがベストだということです。
■毎日最低限の睡眠時間を確保すべき
また、「ショートスリーパーになりたい」という声を聞くことは少なくありませんが、ショートスリーパーになることは、慣れによってある程度は可能だといわれているそうです。
とはいえ、傷んだからだを修復するためには、まとまった睡眠をとることが不可欠。
それに睡眠不足が続くとネガティブになり、最悪の場合はうつになってしまうこともあるといいますから注意が必要。
そうならないためにも、自己管理として最低限の睡眠時間を確保すべきだということです。
■“自称不眠症”でも長く眠らなくてOK
ちなみに、最近では“自称不眠症”の人も増えているのだとか。「昔は8時間眠れたのに、最近は7時間しか眠れない」などと嘆いているような人です。
でも成人しているなら、あまり長く眠ることを求めなくても大丈夫だそうです。
たとえば70代の方にとっての5時間睡眠は、異常ではないのだそうです。
むしろチェックすべきは、「日中の活動に支障があるかどうか」だけだといいます。
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睡眠の常識も、その本質はなかなか理解しにくいところ。本書をもとに「睡眠ログ」をつくり、快適な睡眠を心がけてみてはいかがでしょうか?
(文/印南敦史)
【参考】
※白濱龍太郎(2015)『“ぐっすり”の練習ノート』実務教育出版