パートナーの死よりも影響大!第二子を阻む「生活満足度の低下」

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2015.08.18

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夫婦にとって、子どもを何人持つかはライフプランに大きくかかわるテーマです。「長男(長女)にきょうだいを産んであげたい」、「体力や経済面に不安があるから第二子は望まない」など、夫婦によって子どもの人数に対する考え方はさまざま。

こうした“子どもの人数”への関心は海外でも低くないようで、夫婦が“なぜ第二子を持たないと決めるのか”について、ドイツで興味深い研究が発表されて話題になっています。

今回は海外メディア『The Express Tribune』を参考に、第二子を持たないという選択と、その理由について考えていきたいと思います。

■第一子出産後に満足度は平均1.4P低下

その研究とは、ドイツのマックス・プランク人口統計学研究所(MPIDR)が発表した、「最初の子どもが生まれて1年の間に生活満足度が低下したカップルほど第二子を持つ確率が低い」というもの。

同研究所の主任研究員、ミルスキラ氏は「最初の子どもが生まれ、初めて経験する親としてのさまざまな出来事が、その後の夫婦の家族計画に大きな影響を与えていると考えられます」と指摘しています。

この研究は、SOEPと呼ばれるドイツの大規模な統計調査のデータをもとに行われました。毎年2万人の生活満足度を、0から10までの11段階で評価するものです。

この調査によると、最初の子どもが生まれたあと、夫婦の生活満足度は平均で1.4ポイント低下していました。

そして、満足度が変わらない、または増加した夫婦の66%が第二子をもうけているのに比べ、満足度が3ポイント以上低下した夫婦がその後の10年間の間に第二子を持つ確率は42%まで低下しているとのこと。第一子出産後のこの2つの数字の落差は、なんと離婚や失業、パートナーの死によるそれよりも大きいというのです。

赤ちゃんを育てるということは、楽しいだけではありません。子どもを育てることの大変さを実感した夫婦の戸惑いが、数字にも大きく表れているのかもしれません。

■日本でも理想を下回る「子どもの人数」

『The Express Tribune』の記事では、肝心の「なぜ子どもを持った夫婦の生活満足度が低下するのか」については明確な説明がありません。

ですが、生活満足度には年齢や健康上の理由、経済的な理由、生活環境など、いろいろな要因が関わっているもの。それらはその国の施政とも密接にかかわっています。研究では「出生率の低下を問題視する政治家は、もっと新米パパ・ママたちの生活満足度に注意を払うべきだ」と指摘しています。

同じことは日本にも当てはまりそうです。一人の女性が生涯に産む子どもの人数を推計した合計特殊出生率、2014年の値は1.42と、9年ぶりに前年を下回り(厚生労働省発表)、少子化と、それに伴った人口減少がメディアでもたびたび取沙汰されています。

そして日本では、厚生労働省が「理想の子ども数を持たない理由」について統計調査を実施しています(2010年 出生動向基本調査)。

この調査によれば、夫婦の「理想子ども数」が平均2.3人、実際に持つであろう「予定子供数」は2.08人。ちょっとややこしいですが、実際に持つ子供数は理想よりも0.2人程度少ない、ということがわかります。

■「お金がかかりすぎる」が6割超で最多

出生動向基本調査では、20代、30代、40代のママたちを対象に、予定子ども数が理想子ども数を下回った理由についてもアンケートを行っています。

最も多くのママが選択したのは「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」という“経済的な理由”で60.4%。次いで「高年齢で産むのはいやだから」の35.1%、「ほしいけれどもできないから」19.3%の“身体的理由”が続きます。

世代別にみると、ママの年齢20代では「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が83.3%、30代で「これ以上、育児の心理的・肉体的負担に耐えられないから」が21.0%と、ほかの年齢層に比べて多くなっています。経済的な理由、身体的な理由ともに、生活満足度に大きくかかわる要因です。

子どもの人数について考えることは、生活全体の質について考えること。授かりものである子どもの数を夫婦で話題にすることは難しくもありますが、生活の質について改めて考えるきっかけに、パートナーと話してみてはいかがでしょうか?

(文/よりみちこ)

 

【参考】

Loss of marital bliss may reduce probability of second child:study-The Express Tribune

第14回 出生動向基本調査(PDF)―国立社会保障・人口問題研究所

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