『それちょっと、数字で説明してくれる?と言われて困らない できる人のデータ・統計術』(柏木吉基著、SBクリエイティブ)で解説されているのは、「実務に必要なデータの見方や分析の仕方、あるいは最初のプロセスで必要な考え方や視点。
つまり、あくまで数字をビジネスパーソンの視点から考えているわけです。
しかしそうなると、ビジネスとデータとの連動性を改めて確認しておきたいところではありますね。
そこで、「なぜ、ビジネスにはデータが必要なの?」という項目から答えを探し出してみたいと思います。
■なぜ会社では数字が必要とされるのか?
どんな仕事も、最終的にどこかでお金につながっています。
でも、「なぜ会社では『数字』は数字が必要なのかと問われたとしたら、はたしてどう答えればいいのでしょうか?
組織が大きくなるほど、経営層は会社全体の状況を把握しづらくなるもの。
だからこそ、そんなときにデータ(数字)が大きな役割を果たすわけです。
なぜなら数字を使えば、大量の情報(データ)も集約して把握できるから。また表面上の結果だけでなく、比較や分析によって新たな情報も掘り起こせるというわけです。
また、他にも次のようなメリットがあるとか。
■人を動かすいちばんの説得材料になる
当然ですが、裏づけもなしに「僕はこう思います」というだけでは、組織は動かなくて当然。根拠のないことばには説得力がないからです。
逆にいえば、「この施策をしたら、こういう数字が出たので、積極的に進めるといいと思います」など、数字・データの裏づけがあれば周囲は納得し、結果として人を動かせるのです。
■リーダー・管理職になるなら数字は必須
経営者でなくとも、組織のなかでは役職が上がるほど、自分ひとりで把握できるキャパシティーを超えた担当領域を持つことになります。そこで、数字に頼る要素が深まっていくということ。
なぜなら組織のトップはそのすぐ下に数字を求め、その人はさらに自分の下に数字を求め……と、どんどん連鎖して下につながっていくから。途中で「数字はもういらない」となることは考えにくいわけです。
つまり数字を使って仕事ができることは、自分の仕事の幅を広げるためにも、組織の内部でより質の高い職務を高いポジションで行うためにも重要だということです。
■数字はコミュニケーションを円滑にする
特に国籍や文化が入り混じったビジネスの現場においては、「ことば」によるコミュニケーションは便利である反面で、「曖昧さ」というリスクを伴います。そしてもちろんそれは、日本人同士でも同じ。
たとえば「この商品、最近すごく売れているんですよね」という表現に対する感じ方は、人によって大きく違ってきます。
しかしそれを「この商品、ここ1ヶ月は計画比の140%で売れているんです」といえば、間違った事実が伝わるリスクはなくなるというわけです。
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たったこれだけのことでも、数字の重要性がおわかりいただけるのではないでしょうか?
ビジネスの現場で「数字を」といわれると、ドキッとしてしまう人は少なくないはず。でも、数字についてわかりやすく解説してくれている本書を読めば、数字への恐怖感を和らげることができるかもしれません。
(文/印南敦史)
【参考】
※柏木吉基(2015)『それちょっと、数字で説明してくれる?と言われて困らない できる人のデータ・統計術』SBクリエイティブ