意外と歴史は300年程度!私達の身近に潜む「確率」の起源とは

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2015.08.31

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私たちの日常は確率であふれています。

「明日の降水確率は80%だから、折りたたみ傘を持っていこう」、テレビのワイドショーで「日本代表のスポーツ選手が、次のワールドカップで優勝する確率は◯◯%」、「医者が『喫煙者がガンになるリスクは、非喫煙者の◯倍になる』と警告する」などなど……。

でも、そもそも確率ってなんでしょう?

その点を明らかにするためにお勧めしたいのが、帝京大学経済学部教授で数学エッセイストでもある小島寛之さんの『確率を攻略する ギャンブルから未来を決める最新理論まで』(講談社)です。

■そもそも確率はギャンブルから生まれたものだった

数学が不得手な人にとっては、決して平易とはいえない部分もあるかもしれません。

とはいえ確率についての歴史や変遷がわかりやすく解説されていることもあり、読み進めるにつれ、「確率ってとっても人間くさいな」という印象が強くなり、「難しいもの」という固定概念は覆されることになるでしょう。

まず驚かされたのが、数学が2000年以上前に生まれたものであるのに対し、確率という概念の歴史はわずか300年程度だという事実。比較的、新しい学問であるわけです。

しかも発想の発端はギャンブル。2人の数学者に、ギャンブラーが賭けについての相談を持ちかけたことがきっかけだったというのですから、おもしろいですね。

■3回先勝のゲームを中断したときにもらえる金額は?

確率の基本的な考え方を説明する項目では、次のような挿話が紹介されています。

「花子と太郎がジャンケンをし、3回先勝したほうが100円をもらえるゲームの途中で、どうしても中断せざるを得なくなった場合、2人はそれぞれいくらもらえるのか」という質問です。

さて、花子が2勝し、太郎が1勝していた場合、いくらずつもらえるでしょうか?

正解は、花子が75円で、太郎が25円。シンプルな問題ですが、この解を導く考え方こそが、確率なのです。

■なんと確率には“4通りのアプローチの仕方”がある

冒頭の疑問に戻りますが、「明日、なにが起きるかわからないという不確実性を数理的に表現するために生まれた」のが確率なのだそうです。

そして確率を算出する方法論は、大別すると4通りあるといいます。「サイコロ投げ」を例として、簡単にご紹介しましょう。

サイコロを投げて「1の目が出る確率」が6分の1だということは、誰でも知っていること。

その「6分の1」という数値に、どんな意味づけをしているかの違いが、アプローチ法の違いだということですs。

1つ目が、1万回とか6万回など、大量に投げたときに実現する頻度に着目した「頻度論的確率」。

2つ目が、どの目が出るのも対等であり、有利も不利もないという「等可能性」に立脚した「数学的確率」。

3つ目が、「サイコロを1回投げて、1の目が出ることに6分の1程度の信念を持つ」という、主観的な数値を意味する、「主観的確率」。人間の感覚が数式化されるというのは、意外な話です。

そして最後が、賭けにおける公平さを大切にした最新の考え方である「ゲーム論的確率」。小島さんいわく、「もっとも変わった確率の捉え方」だといいます。

これほど暮らしに浸透している確率が、いまなお進化し続けているというのも興味深い話。

「無限」という概念を取り入れたかと思えば、「競馬と宝くじはどちらが得か?」という、異なる性質を持つギャンブルを比較検討する試みなど、本書でも確率にまつわるさまざまな話が展開されています。

確率はギャンブルの理論だと話す小島さんですが、「同じ町で宝くじの1等と2等が出たとしても単なる偶然。実際に起きたことに、特殊な意味を探し出して付与すれば、どんなことでも奇跡に仕立てることができる」といい切ります。

とはいえ、そこになんらかの意味を見つけ出したくなるのが人間かもしれません。

(文/山本裕美)

 

【参考】

小島寛之(2015)『確率を攻略する ギャンブルから未来を決める最新理論まで』講談社

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