何ヶ国語も自在に操れるのは子どもだけ?それとも大人でもOK?

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2015.09.04

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現代では、他の国の人と交流する機会も少なくありません。でもコミュニケーションの際、「スムーズに会話できたら、もっと楽しいだろうな」と感じることも……。

そこで今回は、「外国語の習得」を科学的に分析してみましょう。

■多言語話者・ポリグロットとは何か

二ヶ国国語を話すことをバイリンガル(bilingual)、母国語を話す人をネイティブスピーカー(native speaker)といいます。

母国語に加えて二つの言語を使える人は、三ヶ国語でトライリンガル(トリリンガル、trilingual)、もっと多くの言語を操れる人たちはマルチリンガル(multilingual)、あるいはポリグロット(polyglot)ともいいます。

母国語と合わせて六ヶ国語以上話せる人たちは、ハイパーポリグロット(hyperpolyglot)と呼ばれるようです。ハイパーポリグロットの中には、五十ヶ国語以上も使いこなせる人もいるのだとか。

それほど極端な例は別としても、世界では数ヶ国語を同時通訳し、十数ヶ国語も翻訳できるハイパーポリグロットが活躍しています。彼らの言語能力は、アスリートでいえば、オリンピック級です。

■早く外国語を勉強させるのはダメ?

ところで言語の習得には、臨界期(ある能力を発達させるためのタイムリミット)があるという説があります。一定の年齢(臨界期)までに目や耳に光や音の刺激が入らないと、視覚や聴覚の神経回路が発達しないということ。

つまり臨界期を越えてしまうと、脳のレベルで見たり聞いたりできなくなるというのです。言語の習得も同じで、一定の年齢までに学習しないと難しくなるわけです。

たしかに大人より子どもの方が、外国語の習得は早いですよね。

でも注意していただきたいのは、「早めに外国語の勉強をさせればよい」という考えは少し単純すぎるということ。

なぜなら、母国語が未発達なまま複数の言語に接していると、ことばが混乱し、どの言語も発達が遅れてしまうことがあるのです。これをセミリンガル(semilingual)といいます。年齢に応じて、ことばが心の発達に追いつかないと、周囲とうまくコミュニケーションが取れないわけです。

子どもをポリグロットにしようと思う親御さんには、気をつけていただきたいと思います。

そもそも外国語の語学力は、母国語を超えません。母国語の語彙や表現力が豊かでないと、外国語の表現も貧しくなるのです。

■大人でも何ヶ国語も自在に操れる

では、大人になった私たちはもうポリグロットになれないのでしょうか?

実は、言語習得の臨界期仮説は絶対的なものではなく、大人になってからポリグロットになれた人も少なくありません。

もちろん才能に応じた努力は必要ですが、多くのポリグロットたちには、ことばそのものが好きで言語の習得を楽しんでいるという共通点があります。下手でも未熟でも、憶えたら使ってみることが大切。

要するに、外国語に接する時間と、高いモチベーションを維持し続けることが大切だということ。残念ながら、言語の習得に近道はないわけです。

(情報提供/サイエンスライター・丸山篤史)

 

【参考】

World’s Greatest Polyglot

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