目的を達成するために必要なものは「百忍」?この言葉の深い意味

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2015.09.06

suzie.20150906

聞きなれない方もいらっしゃるかもしれませんが、『菜根譚』という中国古典は、論語と並んで多くの著名人に影響を与えてきた処世訓の名作。

そして本書『世界最高の処世術 菜根譚』(守屋洋著、SBクリエイティブ)は、「人間関係・人づきあいに長ける智恵」をテーマとして、同書をビジネスパーソン向けに再解釈した書籍です。

きょうは第三章「組織でしたたかに生きる」のなかから、「『百忍』で耐え抜く」に焦点を当ててみます。

聞き慣れない「百忍」ということばには、どのような意味があるのでしょうか?

■粘って粘って粘り抜くことが必要

「衰颯的景象、就在盛満中。発生的機緘、即在零落内。故君子居安宣操一心以慮患、処変当堅百忍以図成」『前集117』より

(下り坂に向かう兆しは最盛期に現れ、新しいものの胎動は衰退の極に生じる。だから君子たるもの、順調なときにはいっそう気持ちを引き締めて異変に備え、困難にさしかかったときには、ひたすら耐え忍んで初志を貫徹しなければならない)

「衰颯」とは衰えること、「盛満」とは真っ盛り、そして気になる「百忍」は、ひたすら耐え忍ぶことだそうです。

その人物の真価が問われるのは、「変に処する」とき。なにか大きな問題が起こったり、ピンチに陥ったりしたときだということ。

つまり、その時点で腰砕けになって、簡単に押し切られてしまっては話にならないというわけです。

局面を打開して目的を達成するために必要なのは、粘って粘って粘り抜くこと。

「百忍」ということばには、そういう粘り強さがなければ、新しい展望を開くことはできないという意味が込められているのです。

■百回でも耐え忍ぶ強さを持つ

そしてこのことばを受け止めたうえで、著者は「近頃の日本は、何かにつけて恵まれすぎています」と指摘しています。

アジアの途上国から来たひとたちはよく、「日本は天国のようだ」といいますが、たしかにそのとおりだとも。

もちろん、それはとてもよいことでしょう。

しかし、こうした環境のなかで生きていると、どうしても体質がもろくなって、「粘り腰」も失われていくもの。

けれど、もしもそのまま耐え忍ぶ強さを失ってしまったとしたら、衰退の道をたどることにもなりかねないということです。

私たちに必要なのは、百回でも堪え忍ぶことができる力なのかもしれませんね。

難しい漢字がたくさん出てきますが、決して難しくはありません。

訳も現代的なので、とても読みやすいはず。

また、中国古典の大家である著者の解説もスマートです。

気軽にぱらぱらとページをめくり、座右の銘を見つけ出してみてはいかがでしょう?

(文/印南敦史)

 

【参考】

守屋洋(2015)『世界最高の処世術 菜根譚』SBクリエイティブ

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