厚生労働省が2015年9月に発表した『人口動態統計(確定数)』によれば、2014年の日本の離婚件数は22万2,107組。これを婚姻件数との比較で計算すると、日本ではおよそ3組に1組が離婚していることになります。
じつは離婚件数は減少傾向にあるのですが、お互いに「この人なら」と思って結婚した当事者にとっては深刻な問題。できることなら一生涯パートナーと仲よくしたいものですよね。
そこで今日は、『Journal of Consulting and Clinical Psychology』に発表された、離婚率を低下させる研究の結果をご紹介しましょう。
■恋愛映画で離婚率が下がる
アメリカ・ロチェスター大学で心理学を研究しているロナルド・ロッジ博士のグループによる研究で、「恋愛映画を一緒に見てそれについて話し合う習慣のある夫婦は、離婚率が従来の半分以下になる」という結果が出ているそうです。
ロッジ博士は、およそ4分の1の夫婦が3年以内にうまくいかなくなるという理由から、新婚3年以内のカップルを対象にして調査を行いました。
その方法は、『恋愛小説家』『風と共に去りぬ』『招かれざる客』など、新旧のロマンティックな恋愛映画を47作品セレクトし、新婚のカップルに1ヶ月で5作品を観て話し合ってもらうというもの。
その結果、各夫婦のその後3年間の離婚率は11%にまで減少したのだそうです。
それ以前は平均24%だったので、じつに半分以下になっているんですね。この数字は、専門家によるカウンセリングやセラピーを受けた場合とほぼ同じくらいの効果があることを表わしているのだそうです。
■月に1本でも効果がある!
大事なのは、映画を見た後に登場人物の行動や気持ちについてふたりで語り合うこと。
そして、スクリーン上の登場人物やその関係性に、自分たちとどう通じる部分があるかを考えること。それを通じて、自分たちの言動を冷静に見つめることなのだとか。たしかに、自分のことだとなかなか気づきにくくても、他人のことなら客観的にわかるものです。
そうしてお互いに気づいたことを話し合っていくうちに、「じゃあ私たちはどうなんだろう?」と振り返ることが、よい効果につながっているのではないでしょうか?
ちなみに月5本とはちょっと多い気もしますが、ロッジ博士は月に1本でも十分に効果があると語っています。
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結婚することを「ゴールイン」といいますが、既婚者のなかには、「結婚はゴールではなく、そこからがスタート」という人がたくさんいます。
明石家さんまさんなどは、「結婚はゴールではない! スタート! しかも途中から障害物競走に変わる」という名言も残しています。
どんなに愛し合って結婚したとしても、結婚生活を続けていくのはそれなりに困難が伴うもの。恋愛映画をネタにして良好な関係を築くというこの方法なら、楽しく続けられそうですね。
(文/宮本ゆみ子)
【参考】