猛暑の夏が終わって秋が近づいてきましたが、季節の変わり目って眠くないですか?
でも眠くなったら、思い切って寝てしまいましょう。
血圧を下げるなど、昼寝が健康にいいという話は一般的ですが、メンタル面にもとてもいいことが最新の研究でわかったのです。
■昼寝はストレス耐性に効果がある
ミシガン大学の研究者が、昼寝の効果について小規模な実験を行いました。参加者は18~50歳の40人。実験に先立ち、3日間は夜にしっかりと睡眠を取ってもらいました。
実験当日は、まずコンピュータを使ってタスクをしてもらいます。参加者に取り組んでもらったタスクは、実は解くことが不可能な難題。そしてそのあと、どんな気分かといったアンケートに答えてもらったのです。
この時点で、タスクに取り組んだ時間の長さは、ほぼ全員が同じくらいでした。
このあと、実験参加者を、昼寝をするグループと、自然の風景が流れる環境ビデオを見るグループにランダムに分け、それぞれ60分間、昼寝かビデオ鑑賞をしてもらいました。
その後、それぞれのグループに再びタスクに取り組んでもらいます。すると、昼寝をしたグループは、昼寝の前にくらべて集中した時間が著しく伸びました。一方で、環境ビデオを見たグループの人たちは、早い時間に諦めてしまいました。
つまり、昼寝をしたグループは、「タスクが解けない」というストレスに対して、より高い忍耐力を示したことになります。
さらに、アンケートへの答えからも、衝動的な行動をとる思いに駆られることが、昼寝をしたグループの方が、環境ビデオのグループよりも低いことがわかりました。
■昼寝ができれば業績アップも?
この研究を率いたミシガン大学博士課程の学生であるジェニファー・ゴールドシュミットさんは、「今回の実験はとても小規模なため、誰にも普遍的に当てはまるわけではないかもしれない」としつつも、昼寝の効果を知り、これを効果的に活用するためには貴重なデータだと話します。
この研究結果から、難しいタスクやフラストレーションがたまるようなタスクをするには、睡眠が有効であることがわかります。
シュミットさんはまた、職場で仮眠が取れるような環境をつくることで、安全性や生産性が高まる可能性を指摘。企業にとって安上がりな業績改善に向けた戦略になりえるとしています。
■昼寝は20~30分でも大丈夫!
この実験では、昼寝時間は60分としましたが、通常の会社員であれば、60分のシエスタ・タイムなんてとても不可能ですよね。でも、ガッカリしないでください。
アメリカ国立睡眠財団によると、60分の昼寝は、頭がボーッとしたり夜の睡眠が阻害されたりする可能性があるため、長すぎるとのこと。注意力を高めるための昼寝なら、20~30分が最適だそうです。
時間帯は、夜の睡眠に影響をしない午後1時から4時がおすすめ。ランチタイムは昼食を早めに切り上げ、20~30分のパワーナップをすると、午後の作業効率が上がるかもしれません。
(文/松丸さとみ)
【参考】