「どうしても許せない!」
そんな相手が、誰にでもひとりやふたりはいるものではないでしょうか?
『Suzie』のアンケート調査によれば、嫌なことをしてきた相手を許せるか許せないかの結果は、「許せる」が35%、「許せない」が65%。
しかも許せる人のうち、「すぐに許せる」と答えた人はたった11%にとどまっています。この数字にも、「許す」ことがそれほど簡単ではないということが表れているといえるかもしれません。
「許せない」なんていう思いは捨ててしまったほうがいい。わかっているけれど、それでもどうしても許せない――。
そんな人のために、コーチングネットワーク静岡代表の土方良子さんが、3つのステップでできる、許せない人を許す方法を教えてくださいました。
■1:相手のなにが許せないのか、なににそんなに腹が立っているのかを明確にする
まず、相手にいわれたこと・されたことをノートに書き出します。そしてそのなかで、「これだけはどうしてもがまんできない」と思うことに○をつけます。
■2:相手を許すための条件を書き出す。その条件が満たされることによって、自分がどうなりたいのか、なにを得たいのかを考える
たとえば、「相手が『私が間違っていた。私が悪かった』と謝ったら許そう」などのように、相手を許すためには、相手がどんな行動をとることが必要なのかを考え、それを同じくノートに書き記します。
そして、その条件が満たされたときに自分がどうなりたいのかをはっきりさせてみましょう。
■3:(2)で書き出したことの重要性を考える
(2)で書き出した「その条件が満たされたときに自分がどうなりたいのか」が、「『私は正しい。私は間違っていなかった』と証明されたい」ということだったときの例で考えてみましょう。
「私が正しい」と思うその心の奥には、相手よりも自分が優位に立ちたいという思いがあるのではないでしょうか。
「自分が優位に立つ」ことは、それほど重要なことでしょうか?
そもそも「正しい」「間違っている」とジャッジすることが、そんなに人生において重要なのでしょうか?
このように書き出すことで事態を客観視しつつ冷静に考えてみると、自分の価値観に縛られていることが許せないと思うことの根源だったことに気づくことでしょう。
「『こうあるべき』という、自分にとっての正しさが否定されると、ひとは自分の存在が脅かされたと感じ、危機感をおぼえます。どうしても許せないと思う人がいる背景には、その危機感が存在しています。そこに気づき、ジャッジすることを手離すと、人間関係はとてもラクになります」(土方さん)
*
たとえ過去のことであっても、「許せない」という思いは怒りの感情をふつふつと呼び起こし、現在のあなたに痛みを与えます。
3つのステップによってそんな痛みから自分自身を解放し、少しでも多く心地よい時間を過ごしましょう。
(文/宮本ゆみ子)
【取材協力】
※土方良子・・・コーチングネットワーク静岡代表 コーチングの世界最高峰資格である国際コーチ連盟マスター認定資格(MCC)取得。
年間100回を超えるコーチングやコミュニケーション研修、セミナーを行い、受講者からほぼ100%の満足度を獲得している。今までに500人以上をコーチングした実績と、長年に渡り教育・福祉に携わった経験を活かした「自分の強みを見つけて豊かに生きるサポート」に定評がある。
【参考】