コカ・コーラがドリンクマシンで100種類の商品を提供する理由

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2015.10.07

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きょうご紹介したいのは、『コカ・コーラ流 100年企業の問題解決術』(デビッド バトラー、リンダ ティシュラー著、北川知子訳、早川書房)。

「ザ コカ・コーラ カンパニー」のイノベーション&アントレプレナーシップ担当バイスプレジデントである著者が、途上国を含む世界各国に販売網を広げたコカ・コーラの成長戦略を明かした興味深い書籍です。

オリジナリティのかたまりのような内容で興味深いのですが、きょうはそのなかから「 100種類を提供するドリンクマシン」についての記述を引き出してみます。

■ドリンクマシンは100年前のアイデア

「ドリンクマシンの前に立ち、カップをコカ・コーラで満たす」という光景はすっかりおなじみ。しかし意外なことに、これは100年前に考案された方法なのだそうです。

最初のコカ・コーラは、有名な緑がかったガラスのボトルで販売されていたわけではなく、グラスに原液を入れ、氷と炭酸水を加えて混ぜて提供されていたということ。

いってみれば、手動のドリンクマシン。それが時代とともに、機械化されていったわけです。

その結果、1998年には、アメリカで販売された96億ケースの炭酸飲料のうち、ドリンクマシンを通じた売り上げは約22%を占めることに。

しかし従来のドリンクマシンでは、拡大するブランドポートフォリオに対応することは不可能。コーク・ゼロからミニッツメイドのレモネードまで、多様化するニーズに応える必要に迫られることになりました。

■ドリンクマシンは100種類から選べる

そこでコカ・コーラ社は、何度もプロトタイプを作成したのち、選択肢を重視したバージョン1.0のドリンクマシン「フリースタイル」を開発。

70種類の低カロリー飲料を含む合計100種類以上の選択肢を提供できるドリンクマシンを生み出したのです。

高濃縮溶液の入ったカートリッジを利用するため、従来のように重い原液の袋を輸送する必要もなし。

カートリッジは使いやすいので、誰にでもプリンターのインクと同じように手軽に交換可能。

そればかりか、ウェブと結びつけて新製品の販売を加速させ、顧客がなにを本当に望むかを迅速に学べるようにしたのだそうです。

またフェイスブックにフリースタイル専用のページを立ち上げ、ファンとオリジナルドリンクのレシピを共有できるようにもしたのだとか。

そして、これらの方法の成果は、予想をはるかに上回ったのだといいます。

フリースタイルを知る消費者の約3分の2は、食事をする店や映画を観る場所を決めるとき、フリースタイルがあるかどうかで選ぶというのですからかなりの効果。

おかげでコカ・コーラ社の売上高は30%も伸び、レストランも順調で、来店客数は4~5%、飲みものの売り上げも2桁で増えているのだそうです。

この話題からも想像できるように、興味深いエピソード満載。雑学的であると同時に、さまざまなビジネスに応用できるヒントも数多く収録されています。

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

※デビッド バトラー、リンダ ティシュラー(2015)『コカ・コーラ流 100年企業の問題解決術』早川書房

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