難しそうな問題も、中立な立場でわかりやすく解説してくれるジャーナリストの池上彰さん。
聞くに聞けないさまざまな疑問を解決してくれる、頼もしい存在です。
『池上彰のニュース そうだったのか!! 1 日本人なら知っておきたい「実はみんな知らない日本」』(池上彰著、SBクリエイティブ)は、テレビ朝日の同名人気番組を書籍化したもの。
なかなか人には聞けない数々の話題について、わかりやすく解説してくださっています。
きょうはそのなかから数字に関連したトピックをご紹介しましょう。
■3種類の文字を使う国は日本だけ
日本ではひらがな、カタカナ、漢字が使われていますが、このように3種類の文字を使っている国は日本だけ。
世界中のほとんどの国は1種類で、多くても2種類の文字しか使われていないのだそうです。
■大和言葉を表す文字がなかった
ところで、日本でもともと使われていたことばを「大和言葉(やまとことば)」といいます。
しかし大和言葉には、それを表す文字がなかったというのです。
そこで中国から漢字を輸入し、その漢字を崩して書いているうちに、ひらがなやカタカナが生まれていったということ。
では漢字に加え、ひらがな、カタカナと2種類も文字があるのはなぜなのでしょう? それは平安時代に、それぞれ違う人が文字をつくってしまったからだというのですから驚きです。
■ひらがなをつくったのは女性?
ひらがなは手紙を書くために誕生し、平安時代の女性貴族が恋文によって流行らせたのだそうです(ただし、諸説あり)。
最初は漢字で書いていたのを、女性が崩し字で書いているうちにひらがなが生まれたというわけ。平安時代の貴族たちは、1日に何度も恋文のやり取りをしていたのだとか。
■カタカナはお坊さんがつくった
そしてカタカナは、中国から仏教が入ってきたとき、仏教の経典を書き写した人たち、すなわちお坊さんが生み出したもの。
当時のお坊さんは、経典を読むために漢字の横にメモを書いており、これがもとでカタカナが生まれたということです。
■1,500字ぐらいの漢字が日本産
最後は中国に約8万5,000種あるのに対し、日本の漢和辞典に載っている漢字の数は5万字ほど。
その多くは中国から来たものをそのまま使っていますが、「鰯」「峠」「畑」など日本で独自につくられたものも。これらを見ればわかるとおり、日本でできた漢字は意味がすぐわかるのが特徴で、1,500字くらいが日本でつくられたそうです。
なお、同じ漢字でも音読みと訓読みがあって読み方もいろいろなのは、「いつ中国から入ってきたか」によって異なるのだといいます。
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他にもためになる情報満載。字も大きく読みやすいので、お子さんと一緒に楽しむのにも最適です。
(文/書評家・印南敦史)
【参考】
※池上彰(2015)『池上彰のニュース そうだったのか!! 1 日本人なら知っておきたい「実はみんな知らない日本」』SBクリエイティブ