タイトルがタイトルなので40代向けであるように思えますが、ぜひ20~30代のみなさんにも読んでいただきたいのが、『40代から知っておきたいお金の分かれ道』(神樹兵輔著、フォレスト出版)。
なぜなら、人生設計、年金、保険、貯蓄、教育費、遺産相続・住宅ローン、投資・資産運用など、誰もがいつか直面する問題について知りたいことが書かれているからです。
■資産形成のための3ステップ
まず紹介されているのは、老後に安心できる資産を形成するために大切な3つのステップ。
(1)稼ぐ
(2)貯める
(3)殖やす
当たり前なようにも思えますが、現実的にこの3つをバランスよく実現するのはなかなか難しいもの。
そして、これらを実践するために必要なのは、「人生の3大無駄遣い」からの脱却だといいます。
ちなみに3大無駄遣いとは、「ローンによるマイホーム取得」「生命保険加入」「マイカー所有」の3つのこと。なぜ、それらが無駄なのでしょうか?
■ローンや保険が無駄な理由
(1)ローンでマイホームを買ってはいけない
まずはマイホーム。これから先、多額の住宅ローンを借りてマイホームを購入する価値がどれほどあるのかと、著者は問いかけています。
住宅ローンの返済シミュレーションをしてみても、将来的にマイナス額の方が大きくなることは明らか。
しかも途中で売却しようにも、ローンの残債額より物件価格の値下がりの方が大きく、マイホームを処分しても借金だけが残ることになり、売るに売れなくなるというのです。つまりマイホームを買うと身動きが取れなくなり、十分な資産形成ができなくなるということ。
(2)保険に入るなら貯蓄を
次に保険。日本の保険は、諸外国の2~3倍の高額商品で、しかも補償は諸外国の2分の1、3分の1と貧弱なもの。
保険という商品はあくまで金集めビジネスで、加入者とは利益相反の関係になっているため、保険に入るくらいなら貯蓄にまわす方がいいという考え方です。
(3)マイカー所有は「不合理な選択」
そしてマイカー所有。たとえば車を13年所有すると、税負担はマイカー購入時の本体価格とほぼ同額。
具体的にいえば、税抜き価格180万円の車を購入し、13年乗ったユーザーの税負担は173万円になるというのです(購入時の消費税と自動車取得税、自動車重量税、自動車税、年間1,000リットル換算のガソリン代に含まれる揮発油税、消費税などの合計)。
その他に有料道路料金や自賠責保険、リサイクル料金なども、税金に準ずるコストと考えると、約57万円(車検代などの整備費含まず)。
これらも含めると、車の本体価格を上回るというわけです。
いわばマイカーの所有は、持参形成に逆行する「不合理な選択」だということ。
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ご紹介したのはほんの一部ですが、このように、お金についての驚きの事実が次から次へと登場します。
しかもそれらはすべて、私たちの人生設計に影響を与える問題。だからこそ、年齢に関係なく読んでおきたい一冊だといえるのです。
(文/印南敦史)
【参考】
※神樹兵輔(2015)『40代から知っておきたいお金の分かれ道』フォレスト出版