短所1がベスト?人にYESと言わせる「9:1のバランス」とは

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2015.10.17

suzie.20151017

ただ「実演販売士」とだけ聞いても、その仕事内容はイメージしにくいかもしれません。でも、「テレビショッピングなどで、軽妙に商品の魅力を伝えてくれる人」といえばピンとくるはず。

『話し方より大切な「場の空気」の説得術』(松下周平(レジェンド松下)著、KADOKAWA)の著者は実演販売士として、「レジェンド松下」の名で12年にわたって活躍してきた人物。

1枚数百円のおそうじクロスで、1日に1億8,000万円の売り上げを記録したこともあるというのですから驚きです。

そして、そんな実績に基づいて著者は、「コミュニケーションに必要なものは『伝え方』『説明力』『空気のつくり方』だけ」だと断言しています。

当然ながらそれは、すべてのコミュニケーションにいえることでもあるはず。その力は、ぜひ身につけておきたいものです。

そこで本書から、「YESといわせるために大切な『9:1』のバランス」をご紹介しましょう。

■人はネガティブなことをいわれると安心する?

たとえば生命保険の勧誘を受けたとして、最初から最後まで耳にやさしいことだけをいわれ続けたとしたらどう感じるでしょうか?

「ここだけの話ですが、保険料は格安で保障はすべてついています。限定商品ですからいまが買いですよ」などとメリットばかりを耳打ちされたら、「きっとなにかデメリットがある」と怪しく感じてしまうものです。

というのも、なにか決断を迫られた人は、ネガティブなことをいわれた方がかえって安心するという性質があるから。

「プラスもマイナスも、すべてを把握したうえで決断したい」と思っているということ。だから信頼されたいのなら、ネガティブな面やデメリットを相手から指摘される前に口にすることが効果的だというわけです。

■「YES」といわせたいなら欠点を堂々と見せる

そこで、褒めて、勧めて、押したら、短所をひとつ挟む。そうすることで、「正直者だな」という印象を持ってもらうことが可能になるといいます。そして、その短所をカバーするような長所をさらに重ねれば、安心して「YES」と決断してもらえるというわけです。

事実、100%欠点のない商品など存在しないはず。そして「おいしい話はない」ということを、みんな漠然と知っているもの。だからこそ、欠点を隠さず、堂々と見せてしまえばいいということです。

たとえば先ほどの生命保険の営業マンなら、「この保険はシンプルさが売りです。なので正直にいうと、医療費の保障は手厚くありません」とはっきりデメリットを伝える。

そして、「しかし医療費に関しては、高額になった場合は自己負担の上限が定められています。平均してかかるお金はこれだけなので、月々の保険料を抑えた方がいいのではないでしょうか」と、その保険のメリットをさらに重ねて伝える。

こうすれば聞き手も納得できるので、安心して契約できるというわけです。

いわば、みんな情報を隠されるのが嫌だけれど、マイナス面を知ったうえで決断することには意外と寛容なものだということ。

具体的には、9の長所で1の短所をサンドする「9:1のバランス」を意識して、ネガティブな情報も「戦略的に」伝えていくべきだという考え方です。

このように、実力派実演販売士の考え方は、実績に裏づけられているだけに説得力抜群。本書で明かされているメソッドは、業種を問わず、あらゆるビジネスに応用できるはずです。

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

※松下周平(2015)『話し方より大切な「場の空気」の説得術』KADOKAWA

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