1円でも安くする努力は大間違い?値上げで逆に会社が儲かる理由

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2015.10.19

suzie.20151019

『絶対儲かる「値上げ」のしくみ、教えます』(石原明著、ダイヤモンド社)の著者は、これまでに4,500社を超える企業のコンサルティングや、経営に関するアドバイスを行ってきたという経営コンサルタント。

とはいえ、よくいるコンサルタントとは少し違った考え方を持っているようです。

なぜなら、事業モデルがB to BであろうとB to Cであろうと、ほとんどすべての企業で値上げをしてもらったというのですから。

しかも上げ幅の大きいケースでは、もとの10倍以上の値上げをしたこともあるのだとか。一般的な尺度からすれば、リスクの方が大きくなってしまうとしか思えないのではないでしょうか?

■付加価値のない値上げをアドバイス

加えて、もうひとつ特異な点があります。

たいていの人は値上げと聞くと、「なんらかの改善をするのだろう」と思うはず。たとえば、高い値段にふさわしい付加価値をつけることなどがそれにあたります。

ところが著者の指導内容はそうではなく、「単に値段を上げてもらう」ところからスタートするというのです。

なにか変えるとしても、せいぜい包装を変える程度だといいます。

■実は「値段を上げること」が正しい?

そうなると顧客は、「経営が行き詰まるのではないか」と不安に思っても当然。

しかし現実的に、値上げして売れなくなったとか、お客様が減ってしまったことはまったくなく、ほとんどの企業で売り上げと収益が向上したのだそうです。

当然ながら、「値段は低ければ低いほどよい」というのが従来の常識。多くの人が、1円でも安くすることが正しい企業努力だと信じて疑わなかったはずです。

ところがそれは間違いで、値段を上げることこそが正しい企業努力だと著者は断言しています。

■値上げで会社が儲かる4ステップ

でも、なぜ値段を上げると経営状態が改善するのでしょうか?

著者によればそれは、値上げによって会社全体が儲かる体質に変わるから。しかもそれは、次の4ステップだけで叶うといいます。

(1)値段を上げる

(2)客層を変える

(3)情報を加える

(4)経営を回す

商品やサービスの値段を上げると「高収益体質」に変わり、適正な利益が得られるようになるそうです。

すると資金繰りから解放され、仕事の絶対量が減ることに。その結果、社内に余裕が生まれるというのです。

また高い商品を売ることで、社員は自社製品に誇りを持つことができ、働きがいを感じることにもなります。

そして、ある時点から取引する客層が激変。つまり、値段よりも安心や信頼でモノを買いたい顧客(「良質な顧客」や「富裕層」)が顧客になるということ。

ここまでくるとビジネスは一気に成功に向かうというわけですが、たしかに、さまざまな意味において「質」にこだわるという考え方は、結果的に「人と人とのつながり」を強めることにもなるはず。

そう考えると、きわめて現代的なビジネス感覚だといえます。

こうした基本に基づいて、本書ではさらに深く、「値上げの仕組み」を解説しています。それはきっと、多くのビジネスパーソンにとってのヒットになるはずです。ぜひ一度、手にとってみてください。

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

※石原明(2015)『絶対儲かる「値上げ」のしくみ、教えます』ダイヤモンド社

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