数字の「1・2・3」を含む言葉に隠された日本独特の深い意味

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2015.10.23

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初夢に見ると縁起がいいものを並べた“一富士二鷹三なすび”という言葉があります。語呂のよさもあって、知らない人はないのではと思われるほど有名です。

じつは、こうした「一、二、三」を並べた言葉はほかにもあります。日本古来の価値観もうかがい知ることができておもしろい、順番の言葉をご紹介しましょう。

■1:親子は一世、夫婦は二世、主従は三世(おやこはいっせ、ふうふはにせ、しゅじゅうはさんせ)

親子の関係は現世限りのもの、夫婦の関係は前世からあるつながりの深いもの。そして主従の関係は前世、現世と来世にまで渡る、たいへん深いものだ、という意味の言葉です。

日本は、明治維新で江戸幕府が倒れるまで長きにわたって封建社会でした。そこでは、主従関係がなにより重要だったことがよくわかります。

テレビの時代劇などではよく「お家のために」と死力を尽くす武士の姿が描かれますが、主従関係が親子よりも夫婦よりも深いものだったとは、その感覚の違いに改めて気づかされます。

■2:一押し二金三男(いちおし、にかね、さんおとこ)

こちらはぐっとカジュアルな言葉。男性が女性の愛を勝ち取るために必要なものを順に挙げています。いちばん大事なのは「押し」、つまり押しの強さで、次に大事なのは「金」があること。「男前」であること、つまりビジュアルはその次でしかないのだ、という意味です。

女性に愛されるためには、男前であることはそれほど重要ではない。それよりも「押せ押せ」でアタックする勇気が大切だという、とても希望にあふれた言葉なのです。この感覚は現代にも十分通用しますね。

■3:一髪、二化粧、三衣装(いちかみ、にけしょう、さんいしょう)

いっぽう、こちらは女性の魅力を順に挙げた言葉。昔から、女性がもっとも気を遣ったのは「髪」、つまりヘアスタイルを含めた髪の美しさだったんですね。同じく女性の美しさを表す言葉で「一瓜実に二丸顔(いちうりざねに にまるがお)」というものもあります。

前述した「一押し二金三男」が内面を重視するもので、女性の魅力を表す言葉が外見に特化したものだということは、すなわち女性は異性の内面に、男性は異性の外見に惹かれがちだということを暗に示しているようです。

■4:一引き二才三学問(いちひき、にさい、さんがくもん)

こちらも非常に考えさせられるもの、出世の条件を挙げた言葉です。

出世にいちばん大事なのは「引き」、つまり上司からの引き立て。次が「才」つまり本人の才能、才覚で、その次に来るのが「学問」であるという言葉です。

ここでいう学問は、学歴というよりは知識や経験といった意味合いでしょう。同じような意味の言葉で「一引き二運三器量(いちひき、にうん、さんきりょう)」というものもあります。やはり「引き」がトップです。

出世の第一条件が“コネ”つまり人脈であるというのは、いまの社会でもいえること。時代が変わっても、社会のありようはそれほど変わらないものなのかもしれません。

■5:一誹二笑三惚四風邪(いちそしり、にわらい、さんほれ、しかぜ)

ものものしい字面ですが、なんのことはない、くしゃみの回数ごとの意味を占う言葉です。

一回なら誰かに悪口を言われている、二回なら誰かに笑われている、三回だと誰かがあなたに惚れていて、四回ならそれはもう風邪ですよ、という意味なのです。

気になるのはこの順番。正しいことは不明ですが、じっと見ていると、どうもやられて嫌なことの順であるようです。

陰で悪口を言われること、笑われることは嫌なもの。惚れられるのはうれしいことですが、相手が誰だか分からないのではいまいち喜べません。これは、本当は一番残念であるはずの「風邪」をひいてしまった相手を慰める、洒落と思いやりの効いた言葉なのかもしれません。

優先順位を表すだけに、社会や男と女の本質を突いていて興味深いですよね。

ここで、冒頭で挙げた「一富士二鷹三なすび」について補足を。富士、鷹の縁起がいいのはなんとなく理解できますが、なぜ「なすび」が3つめに入っているのでしょう。

なすは実がたくさんなることから子孫繁栄を意味しているという説もありますが、いちばん有力なのは、江戸幕府を興した徳川家康の地元・駿府(静岡)の名物を挙げた、という説。静岡では、なすが他の地域よりも早く採れ、高値で取引される名産品だったそう。

100年も200年も、ときにはそれ以上の年月を生き延びてきた言葉には、なかなか深い意味が隠されているもの。探訪してみるのもおもしろそうです。

(文/よりみちこ)

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