優秀な人を見つけたいなら人材探しに70%以上の時間を割くべき?

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2015.10.30

suzie.20151030

「超低価格+高スペック+洗練されたデザイン」のスマートフォンによって、マーケットに衝撃を与えたシャオミ。

リアル店舗は持たない、自社工場は持たない、役職はつくらない、ハードウェアでは稼がないなど、従来の常識を一蹴する戦略を持つ中国のメーカーです。

『シャオミ(Xiaomi) 世界最速1兆円IT企業の戦略』(陳潤著、永井麻生子訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、そんなシャオミが創設以来たどってきたプロセス、創設者である雷軍(レイジュン)の経営戦略などを解説した書籍。

■雷軍は「中国のスティーブ・ジョブズ」

2010年4月に設立されたシャオミの、2011年10月の時点での企業価値はすでに10億ドルを記録していたといいます。Googleが7年、Facebookが6年かけて成し遂げた偉業を、1年半で達成したということ。

そんなこともあり、「中国のスティーブ・ジョブズ」と呼ばれる雷軍が打ち出す「インターネット思想」というコンセプト、「シャオミ方式」と呼ばれる戦略、ユーザーを囲い込む「参加型」の秘密は各方面から注目されているそうです。

そんなシャオミの独自性が浮き彫りになっている本書から、きょうは人材探しに関する考え方をご紹介したいと思います。

■敏腕エンジニアを12時間もかけて説得

雷軍は人材探しについて、「人材発掘はこの世の中でいちばん難しい作業だ」と語ったことがあるそうです。

起業当初には、週に5日、毎日10時間以上もかけて、あるグローバル企業の幹部を口説いたのだとか。

また、面接を受けに来たもののシャオミの前途にも懐疑的だったベテランのハードウェアエンジニアに対しては、数人がかりで12時間もかけて説得し、最後には相手を「屈服」させたのだといいます。

「いい人材が来ないというなら、それは、注いだ精力が足りない、ということだ。私は一日の半分以上の時間を人材の募集に費やした。最初の100人のスタッフは、皆私が自ら会ってコミュニケーションをとったものばかりだ」(36ページより)

■人材探しには70%以上の時間を割こう

人材を長時間にわたって囲い込んでまで説得するとは恐ろしい気もしますが、そこには明確な持論があるようです。

「(前略)どんな企業でも優秀な人を見つけるのは大変難しい。この問題を解決する方法はふたつしかない。ひとつは、充分な時間をかけること。少なくとも仕事時間のうちの70%は人探しに割かなければならない。もうひとつは、人が自ら集まってくるようにすること。(中略)将来の伸びしろや発展のチャンスを見せつければ、自ずと人はやってくる」(37ページより)

現在、シャオミの従業員の半分以上はGoogle、マイクロソフト、金山(中国最大のソフトメーカー)から来ており、平均年齢は32歳で、大部分が大学卒業後10年か大学院修了後7年の経験豊かな人材なのだとか。

情熱を持ち、気力も充実している年代ですが、だからこそ彼らには、必ず有利な待遇も与えなければならないと雷軍は主張しています。

ただし「ふさわしい報酬」は必ずしも大金、高給を意味するわけではなく、どんな人材を招聘した場合も、3つの選択肢を出すのだといいます。

「1つ目はグローバル企業と同じ報酬。2つ目は3分の2を報酬でもらい、3分の1を株で受け取る。3つ目は3分の1を報酬でもらい、より多くを株で受け取るというやり方だ」

企業を成長させるには、人材の重要性を理解し、社内での社員育成とレベルアップを重視する必要があります。いわば、これはそのために導き出された方法のひとつ。そこにも、他の企業にはない圧倒的なオリジナリティーが現れているといえます。

エピソードの数々はどれも新鮮で、読んでいるだけでも知的好奇心を大きく刺激されるはず。ビジネスモデルのあり方について考える際は、ぜひ参考にしたい一冊です。

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

※陳潤(2015)『シャオミ(Xiaomi) 世界最速1兆円IT企業の戦略』ディスカヴァー・トゥエンティワン

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