海外の絵本には、国内のものにはない魅力がつまっています。色合いがはっとするほど鮮やかだったり、逆にモノトーンのシックなタッチだったり。ミリオンセラーの10冊を集めてみました。
■10位:『もりのなか』(マリー・ホール・エッツ作、福音館書店)103万冊
子どものころって、想像の世界と現実との境があまりなかった気がします。モノクロで描かれたシブい絵本なのですが、静かでにぎやか。だんだん増えていく動物にあわせて、ゆっくり、ゆっくり読んでみてください。
■9位:『かいじゅうたちのいるところ』(モーリス・センダック作、冨山房)114万冊
暴れん坊のマックスは、ある日、いたずらが過ぎたため、夕食抜きで子ども部屋に閉じ込められます。そこからはじまるマックスの冒険物語。こわいけどかわいいかいじゅうたちと、子どもならではのドヤ顔を決めたマックス少年が魅力的に描かれています。
■8位:『ちいさいおうち』(バージニア・リー・バートン作、岩波書店)116万冊
クラシックでかわいらしいタッチで描かれているのに、あらためて読むと、現代の環境問題にも通じる衝撃の絵本。子どもにもわかりやすく、最後はハッピーエンドで結ばれていますが、いろいろ考えさせられる絵本です。
■7位:『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』(バージニア・リー・バートン、福音館書店)136万冊
いたずらきかんしゃちゅうちゅうの大暴走を、楽しい擬音いっぱいで描いた絵本です。
「ちゅうちゅう、しゅっしゅっしゅ!」と声に出せば、子どもでなくても楽しくなってきます。もともと、機関車好きの最初の子どものために著者が描いたお話だったそうです。モノトーンで描かれた機関車がとても躍動的です。
■6位:『どろんこハリー』(ジーン・ジオン文、マーガレット・ブロイ・グレアム絵、福音館書店)188万冊
どろんこ遊びって、いつのまにか深みにはまってしまうもの。お風呂が嫌いで、どろんこ遊びが大好きなハリーに、『あれ、うちの子だ!』と思ってしまうママもいるかもしれませんね。
最後はおうちに戻れて、めでたし、めでたし。それにしても、きょとん、としたハリーの表情がかわいい!
■5位:『新ウォーリーをさがせ!』(マーティン・ハンドフォード作、フレーベル館)226万冊
大ヒットしたウォーリーシリーズ。子どもにちょっとじっとしていてほしい場所に、この本を持っていきましょう。どこでも動き回ってしまう子どもでも、夢中になってウォーリーを探し始めますよ。
■4位:『三びきのやぎのがらがらどん』(マーシャ・ブラウン作、福音館書店)252万冊
子どもに人気のある本のなかには、常識を超越してしまうものが、しばしば見受けられます。この絵本は、三びきのやぎとトロルとのたたかいを描いたもの。
なぜ三びきとも名前が同じがらがらどんなのか? 最後の大きいヤギのやり方は少し暴力的ではないか? など大人は疑問を抱くかもしれませんが、子どもの大好きなハラハラドキドキの原点とも呼べるエッセンスがぎゅぎゅっと詰まった一冊です。
■3位:『おおきなかぶ』(A・トルストイ再話、佐藤忠良絵、福音館書店)278万冊
ひっぱるときのかけ声、『うんとこしょ、どっこいしょ』。大きなかぶのなかなか抜けない感じを、本当によく表していると思います。子どももこのかけ声は大好きになるでしょう。もとはロシアの文豪トルストイが再話したもの。ロシア語ではこのかけ声、なんていうのでしょうね。
■2位:『てぶくろ』(エウゲーニー・M・ラチョフ作、福音館書店)300万冊
おじいさんが森で落とした手袋に、森の動物たちが次々と住み着いてしまうお話。窓や煙突がついたりしてどんどんバージョアップしていく手袋ハウスが、最後にあっという間に元の手袋に戻る真冬の森のファンタジーです。
■1位:『はらぺこあおむし』(エリック・カール作、偕成社)368万冊
カラフルな色味が楽しいエリック・カールの人気作。あおむしがたいらげていく食べものの絵がまたおいしそう!あおむしがきれいな蝶になるページをめくるのが、子どもは大好きです。
*
ここでは紹介できない絵本もまだまだありますが、前回の国内編に続いて、長く広く読まれているミリオンセラー絵本海外編をご紹介しました。お気に入りの一冊は入っていましたか?
(文/Kinkiii)
【参考】
※株式会社トーハン編集部『ミリオンぶっく2015年版』トーハン