モブキャスト社長が「人づきあいは0か100か」スタンスを貫く理由

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2015.11.01

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きょうご紹介したいのは、『世界70億人をワクワクさせる バカの知恵 ―42歳にして二度の上場を果たした“目覚まし時計”経営論』(藪考樹著、プレジデント社)。

「モバプロ」「モバサカ」「モバノブ」など、おなじみの人気モバイルゲームコンテンツを生み出してきた「モブキャスト」代表による著作です。

表紙には「バカ」と大きくレイアウトされているため、見た目にも大きなインパクトがあります。でも、どうやら単に奇をてらっているわけではなさそう。

つまり、「いまの僕があるのは自分自身が『バカ』だと知っているからだ」と著者はいうのです。

そして自分が「バカ」であることを知るというのは、「無知の知」と言い換えてもいいといいます。無知であると認めたその先に、新たな知性が生まれるという考え方だといえるかもしれません。

■上場企業の社長なのに重度の人見知り

ところでそんな著者は、本人の言葉を借りるなら「重度の人見知り」なのだそうです。それどころか、人間嫌いといってもいいのだとか。

ところがそれでも、いくつかの会社での営業経験を経て転職した「ベルパーク」という会社を2002年に株式上場させ、さらに2004年には「モブキャスト」を立ち上げることに。

しかもそれだけでは終わらず、スマホ向けアプリの開発をメインの業務としているモブキャストをも、8年かけて東証マザーズに上場。こうした実績だけを見れば、とても人見知りだとは思えません。でも、それでも人見知りであることは間違いないのだそうです。

■でも社交的なおつきあいはする気なし!

世の中には「どんな人とでも仲よくなれるのが特徴です」という人もいて、しばしばそれは人間的な魅力として理解されます。しかし実際のところ、著者はまったくの逆なのだというのです。

「社交的なおつきあいっていうのは、本当にする気が起きない」といい切ってしまうのですから、かなりもののです。

しかしそれでも、大事な人はちゃんといるのだとか。それは、自分、家族、友だち、社員たち、一緒に仕事をしたいと思う人。

人嫌いでありながら、いや、人嫌いだからこそかもしれませんが、仲よくなると、とことん仲よくなるのだそうです。

だから、人づきあいもそれだけの輪で精一杯になってしまうということ。

たとえば自分が気に入った料理屋には、親しい人をみんな連れていきたいと考えるタイプ。

「自分が好きなものは、親しい人たちにも好きになってほしい」というわけで、ある意味では徹底した考え方だといえるのではないでしょうか。

そして1、2年にひとりくらいの割合で、「この人のことを、すごく知りたい」と思うことがあるのだそうです。

そういう場合は年齢も関係なく、経営者であろうが芸能人であろうが、とにかく会って話を聞かないと気がすまなくなるというのですから、やはり徹底しています。「中間」がないともいえるでしょう。

■著者的に人づきあいは0か100しかない

だからそういう場合は、どんなことがあっても飲みに行くことにしているそう。

「なんでこんなに魅力的なんだろう」

「なんであんなパフォーマンスができるんだろう」、

そんな思いを真正面からぶつけて、「あっ、だからなんだ」と納得できるまでひたすら聞くというスタイル。

つまり、「人間嫌い」でありながら「大事な人は大切にする」という意味で、著者にとってのつきあいは0か100しかないということです。

この考え方は、特に珍しいものではないかもしれません。むしろ、シンプルすぎるほどにシンプルです。

しかし重要なのは、珍しくなくともシンプルでも、著者が経営者としてそのスタンスを徹底的に貫いているということ。

状況に流されてぶれるようなことがないからこそ、そこに強さが生まれ、それは人を引っぱっていく力になっているということです。

つまりこの考え方には、リーダーシップの本質が隠されているのです。

他にも本書には、「一般的な企業とはちょっと違う」モブキャストならではの経営哲学が書かれています。語り口調なので読みやすく、スラスラと読み終えてしまえるはず。

ぜひ、読んでみてください。

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

※藪考樹(2015)『世界70億人をワクワクさせる バカの知恵 ―42歳にして二度の上場を果たした“目覚まし時計”経営論』プレジデント社

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