食後3分以内の歯磨きは無意味?間違いだらけの日本の歯磨き事情

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2015.11.02

suzie.20151102

「汚い」「バイキンがいっぱい」など、唾液にはあまりいいイメージがないかもしれません。

しかし、唾液には非常に重要な役割があると力説するのは、『長生きする人は唾液が多い』(本田俊一、フォレスト出版)の著者。大阪で歯科医院を開業している現役の歯科医師だそうです。

具体的にどのような役割があるのかといえば、まず唾液がたくさん出る人は虫歯もできない。そればかりかガンやインフルエンザを予防でき、病気知らずで長生きできるというのですから驚きです。

つまり本書では、正しい唾液との秘密を明らかにしているわけです。

■食後3分以内に歯磨きしても無意味?

ところでそんな本書のなかで、著者は「333運動」について意外な事実を明らかにしています。ご存知の方も多いと思いますが、これは「食後3分以内に、1日に3回、3分間歯を磨こう」というもの。

しかし食後に歯を磨く習慣があるのは、世界のなかでも日本をはじめとする少数の国だけなのだそうです。

そしてその結果、人によってはドライマウスが進行したり、虫歯になりやすくなったり、食後しばらくしてから口臭がひどくなるケースが多発したのだとか。

■飲食後の口腔ケアは歯磨きではない

しかも海外の多くの国では起床直後に歯を磨くのに、日本人の多くは朝食後に磨くもの。

しかしそもそも、ものを食べたら必ず歯を磨かないといけないのだとすれば、1日に何度も歯を磨かなければならないことになります。

飲食後の口腔内は酸性に傾きやすい状態になるため、例外なく口腔ケアが必要。海外でもそれは同じですが、ただし決して歯磨きではないのだそうです。

そして歯磨きには、唾液が大きく影響しているのだと著者はいいます。

また、「333運動」がよくないのは、食後、口のなかが酸性に傾いているときにブラッシングをするべきではないから。

そういう意味で食後の歯磨きは明らかに逆効果で、飲食後にブラシで歯垢を取る必要はなし。

大切なのは、舌の上の食べかすや飲みかすを処理することと、pHをコントロールして、酸性化しやすい状態を中和してくれる唾液をいかに活用すること。

■歯のためにタブレットやガムの利用を

唾液の流れを確保するには、唾液腺から分泌された唾液を飲み込みつつ、唾液を分泌し続けるという舌の連続した動きが重要。

そして食後は歯磨きよりも、唾液をしっかり出す方法を実践することの方が、歯の健康のためには有効。

食べかすや飲みかすの処理を考えるならば、タブレットやガムを口に入れて転がし続けることが最適だそうです(ちなみに唾液をしっかり出す方法は他にもたくさんあり、本書ではそれもしっかり紹介されています)。

逆に、歯磨きをして口をすすぐのでは、唾液は逆に喪失してしまうというのです。

■虫歯予防でフッ素を取り込むべきか否か

なお現在のほとんどの歯磨き剤には、虫歯の予防のためフッ素が入っています。たしかにフッ素は虫歯予防のために有効ですが、フッ素を口から取り込むことに反対する団体もあるのだといいます。

また、日本の歯磨き剤メーカーの多くは、合成界面活性剤のメーカー。

合成界面活性剤の成分のひとつであるラウリル硫酸ナトリウムとその誘導体については以前から人体への有害性が指摘されており、アレルギーを引き起こしたり発がん性があったりと、さまざまな問題が取りざたされているのだとか。

また歯磨き剤には、たくさんの殺菌剤や薬品、有機溶媒のアルコールなどが配合されています。

歯磨き剤は1日に何度も口に入れるものですから、長期使用の影響が懸念されても無理はないでしょう。

しかも合成界面活性剤はいくらすすいでも残留しやすく、一度口に入ると、容易なことでは取り除くことができないというのですから恐ろしい話です。

その結果、わずかではあっても、毎日、口腔内粘膜から吸収されてしまう。これが、歯磨き剤は少量にすべきだという考え方の根拠。つまり、合成界面活性剤の入っていないオーガニックな歯磨き剤を選ぶことが大切だということです。

■ただし起床直後の唾液は危険なので注意

なお、先に「海外の多くの国では起床直後に歯を磨く」と書きましたが、これには根拠があるようです。

起床直後の唾液には、細菌や、細菌がつくり出した「内毒素」が飽和状態になっているというのです。これは、組織や骨まで破壊する威力を持っているもの。

つまり起床直後の唾液は、一晩かかって口腔内で培養された最高濃度の細菌溶液のみならず、最高濃度の毒薬に匹敵するもの。そこで、起床直後の歯磨きが非常に大切なのです。

逆に起床後、歯を磨かずに朝食をとるということは、菌を朝食と一緒に飲み込んでいるということになるわけです。

歯磨きとの関係だけを見てみても、唾液の重要性を理解できるのではないでしょうか? 他にも知られざる唾液の秘密が満載されていますので、読んでおくべきだと思います。

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

※本田俊一(2015)『長生きする人は唾液が多い』フォレスト出版

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