世界は数字が全てではない!数値化に隠された「恐ろしいリスク」

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2015.11.04

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私たちの生活において、数字には重要な役割があります。特にビジネスシーンでは、数字は指標や判断材料として欠かせません。

しかし、その正確さや公平性ゆえに、私たちは数字に縛られすぎるもの。たとえばレストランに行ったとき、値段を気にして食べたいものを我慢したり、「●●万部突破!」という文句につられて本を買ったりするなど、気持ちや感情は数字に左右されてしまうわけです。

そんななか、オーストラリアの『The Age』では、数値化することへの疑問が述べられていました。

■自分の身体に耳を傾けられなくなる?

「多くの人が、数字で計れないものは管理できないという認識を持つ」

そう語るのは、メルボルンにあるスポーツセンターの心理学者、ジャッキー・ラウダー氏です。スマートフォンの普及に伴い、さまざまなアプリケーションが使われる現代。自己管理もアプリケーションによる数値化に基づいて行われつつあります。

こうした数値化テクノロジーの背景には、米国カリフォルニア州から始まったQS(Quantified Self)というムーブメントがあります。QSとは、コンピューターを用いて人間の行動や状態をトラッキングし、定量的に観測するという、1種の分析方法。

プロのトレーナーや医者にとっては、定量化はとても有益なものになります。しかし、一般の人が単に定量化だけを行うと、自分の身体に耳を傾けることを止め、生活が数字に支配されてしまう危険性があるのです。

■すべて数字で判断できるわけではない

メルボルン大学の数学者であるジャン教授は、「数字はどんなときでも冷静で公平。議論の余地はない」と指摘します。事実と幅広い知識に基づいた判断は、思想や直感に基づく判断よりも遥かに優れていますが、すべてが定量化できるわけではありません。

たとえば、文化と創造性について考えてみましょう。

仮にある文学の質を測ろうとしたとき、作者がどれくらい本を書いてきたのか、その本がどれくらい売れているのか、読者をどれくらい楽しませたのかなど、どれを基準に判断すべきなのでしょうか?

■人々は数字で余計な不安をなくしたい

たとえば感情を測り、視覚化することはできるのでしょうか?

自己管理アプリケーションReallifexのクリエイター、アレックス・プレイト氏によると、なにが起きているかをより理解し、不安をなくすためのクリアで事実に基づいた観点を持つため、人々は感情を測りたいのだそうです。自分になにが起きているのか、視覚化されたグラフで見ることができるとも述べています。

しかしこれは、自分の感情に対して感情のない判断を下すことに繋がるのではないでしょうか。ちなみにこちらのアプリケーションはおよそ30,000回ダウンロードされており、ユーザーの大半が35歳以下の若い男性だそうです。

■数字は人に誤った判断をさせない?

オーストラリアで最大の投資ファンドの1つである、プラチナアセットマネジメント社の取締役社長であるカー・ニルソン氏は、毎日莫大な数字を最大限に活用して判断を行っています。

ニルソン氏は、数字は意思決定に明快な判断理由をもたらし、感情よりも大事な判断材料になると述べています。

しかし、タスマニア州のモナギャラリーの創設者であり、熱狂的なギャンブラーとしても知られているデビッド・ウォルシュ氏は自身のブログで、「シリアからの難民問題について人々の心を動かしたのは、難民70人がトラックで窒息したというニュースよりもクルド人の小さな男の子が波打ち際でうつ伏せに亡くなっている1枚の写真だった」と語っています。

技術の進歩により、現代社会ではさまざまなものを測れるようになっています。たしかに数字は重要な判断材料ですが、捉え方もまた人それぞれ。無理に数値化するのではなく、測れないものは自分の心や身体に問いかけていきたいですね。

(文/スケルトンワークス)

 

【参考】

Don’t let numbers rule you-life counts more-The Age

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