留学生から見ても日本は長時間労働の国?世界の「労働時間」実態

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2015.11.05

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最新の調査によると、修士号の学位を持つ人はそうでない人よりも労働時間が長い傾向があるのだそう。

このニュースを受けて、大学や学生生活にまつわるトピックを紹介するサイト『TOPUNIVERSITIES.com』では、修士号を持ち、母国以外の国に留学した経験のある若者たちに、各国の労働時間についてアンケートを実施しました。

母国との比較で語られる各国の労働時間事情は、なるほどと納得できます。さっそく見ていきましょう。

■アメリカ:長時間労働が進行中!

経済協力開発機構(OECD)が発表したフルタイム労働者の平均労働時間データ(2014年)によれば、アメリカは1,789時間/年でほぼOECD平均です。

アメリカ出身のケイシーとニコルによれば、「アメリカはまだまだ伝統的な午前9時-午後5時の勤務スタイルが定番」。しかし一方で、「多くの業界や地域で、1日12時間勤務までは一般的になりつつあります」(ケイシー)。

特に専門性の高い法曹業界や航空業界、医療現場では長時間労働が珍しくなく、クレイジー・アワーと揶揄されることも。

アメリカ国内で働くクレメント(フランス出身)とマルタ(イギリス出身)は、母国よりもアメリカのほうが長時間労働を一般的だと感じています。

クレメントにとって驚きだったのが、「アメリカの企業には労働時間制限がない」ということ。フランスでは、労働法典で時間外労働も含めて週48時間を超えてはいけないと決められているのです。「アメリカでは、週24時間だろうが70時間だろうが、問題なく働くことができるのです」

■ヨーロッパ:東は長時間が主流・西では質重視

年間の平均労働時間はロシア(1,985時間/年)、ポーランド(1,923時間/年)、ハンガリー(1,858時間/年)など東ヨーロッパの方が多め。一方、西ヨーロッパのイギリス(1,677時間/年)、ドイツ(1,371時間/年)、フランス(1,473時間/年)、スペイン(1,689時間/年)はOECD平均を下回っています。

ここでは、平均労働時間が短めのフランス、ドイツについて見てみましょう。

[フランス]:制限の範囲で長時間化も

フランスでは、労働法典で週35時間労働を基本と定められていますが、それほど尊重されていないのが実態。

フランスで働くケイティ(アメリカ出身)によると「わたしの知るところでは、ほとんどの人が週35時間よりも多く働いています」とのこと。

また、アメリカで働くクレメント(フランス出身)は「顧客志向の旅行、レジャー、ケータリングや宿泊といったサービス業には独自のルールがあり、休日出勤や残業もあります」、ケイティも「医療の現場など長いシフトが求められる仕事には、通常長時間労働のかわりに休暇もあります」と証言。

48時間/週という制限はありつつも、特定の業界では労働の長時間化も進んでいるようです。

[ドイツ]:週4日勤務が一般的

ドイツの平均労働時間はアメリカを下回っていますが、ドイツの大学に通うフェリックス(アメリカ出身)は、「それはドイツ人が仕事をしていないということではありません」と主張します。

「ドイツでは、効率がとても重視されます。アメリカでは一般的に週5日働きますが、ドイツでは多くの人々が週に4日しか働かず、金曜も休みです」。そのぶん集中して仕事をし、結果を出すことが求められている、といえます。

■日本:週60時間以上が一般的

日本の平均労働時間(2014年)は1,729時間/年で、OECD平均以下。しかし、日本で働くケイシー(アメリカ出身)は、日本ではいまでも長時間労働が一般的だと見ています。

「終身雇用制度がまだ根強く残っています。労働者は終身雇用と引きかえに、驚くほどの長時間勤務をこなしています。1993年に生まれた過労死(karo-shi)という言葉は、平均週60時間以上働くことで起こる過剰なストレスを原因としています。このことは、当時週60時間以上働くことがいかに一般的だったかを示しています」。

また、業界によっても、労働時間数は大きく違っているのが実情です。

日本のIT関連業界で働くアルカナ(インド出身)は、「日本では、IT業界は特に労働時間が長くなりがち。10~12時間か、プロジェクトによってはもっとです」と証言。

ちなみにインドでは……。「8時間勤務が一般的ですが、各国の業務を請け負って仕事をするケースが多く、タイムスケジュールは取引先の国に合わせて午後4時-深夜12時だったり、朝2時-午前11時だったり」。長時間勤務とは違った大変さがあるようです。

今回、アンケートに回答した修士号を持つ若者たちの多くが週40時間以上働きたいと考えているのだとか。

一日の最も長い時間を費やす労働に対する考え方は、そのままその国の価値観や個人の生き方にも通じます。生活の質は確保しつつ、しっかり働いて成果を出したいものです。

(文/よりみちこ)

 

【参考】

Differences in Average Working Hours Around the World―topuniversities.com

Average annual hours actually worked per worker―OECD

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