3000人調査で「男女の心臓は構造に大きな違いがある」と判明

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2015.11.08

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私たち人間は、子どものころからずっと、男女の違いを意識して暮らしてきました。

男性の方が一般的に腕力が強かったり、女性は分娩の痛みにも耐えられるくらい痛みに強かったり、両者の違いは並べ出したらきりがありません。

しかし病気に関しては、男性か女性かで治療の仕方が違うということはなく、がんでも心臓病でも同じ治療がされています。

ところが最近の研究によって、男女の心臓は構造上の違いがあり、加齢とともにその違いが顕著になるため、治療の仕方も変えざるをえないという研究結果が出たそうです。

■3,000人を調査して心臓の違いが判明

この研究結果は、約10年にわたって3,000人近くの成人を調査してはじめてわかりました。研究では、心腔のひとつである左心室に焦点を当てたもの。左心室は、酸素を豊富に含んだ血液を心臓から体へと送り込むポンプの働きをしています。

年を取るにつれて、左心室が血液を送る能力は低下します。しかしこの機能の低下が、性別により違うことがわかったのです。つまり男性の場合、左心室付近の心筋は年を取るにつれて、大きく肥厚していきますが、女性の場合、この心筋の大きさは変わらないか、収縮するというのです

■心臓病治療を男女によって変える必要

なぜ男女によって違いが起きるのかは、まだはっきりとはわかりません。しかしこの非常に興味深い男女の不一致の原因が明確になった場合、心臓病患者の治療を男女によって変える必要が生じるかもしれないと研究者たちは考えています。

メリーランド州ボルチモアの名門、ジョン・ホプキンス大学医学部教授であり、同大学心臓血管研究所所長のジョアン・リマ氏は、「この研究結果により、心臓病の病態生理は男女によって違うことと、こうした生物学上の違いに注意を向けた男女それぞれの治療が必要なことが実証された」と述べました。

■心臓MRI(磁気共鳴画像法)での検査

この研究では、初めて長期にわたって左心室の構造や機能を観察するために、心臓MRIを使いました。ただ最近の研究では、MRIよりも超音波検査を使う方が、人間の心臓を精査できると主張する研究者たちもいます。

ここでは、45才から84才までの2,935人の成人を対象に調査しました。調査に参加した時点では、その中の誰も心疾患を患っている人はいませんでした。調査の最初から最後まで、医師たちが被験者一人ひとりに心臓MRI検査を実施。MRIによって、参加者の左心室の正確な大きさと容積、重量を計りました。

■左心室の重量が男性は8グラム増える

すると研究をつづける間に、男性達の左心室の重量は平均8グラム増加。それに対して、女性の場合は平均1.6グラム減りました。また容積(拍動ごとに出入りする血液の量)は、男女ともに減ることに。ただ、一度に10ミリリットル減っていた男性に対し、女性はさらに多く13ミリリットル減っていました。

こうした違いは、研究者たちが被験者の体重、血圧、コレステロール値、運動、喫煙について指導した後でも起こっています。

■男女によって心臓病治療を変える必要

「男性と女性は、別々の理由で心疾患を起こしているかもしれない」とジョン・ホプキンス大学放射線学准教授であり、この研究の調査主任であるジョン・エング博士は述べています。

この発見により、医師たちは男女別々の治療法を確立することになるかもしれません。たとえば心不全を起こした人々に対して、心臓専門医は、肥厚して硬くなった心筋を広げる薬剤を処方します。しかし女性の心筋が長い期間で縮小したり、そのままの大きさに止まったりするならば、この処置は男性ほど女性には効果がないことになります。

さらにこの調査は、アテローム性動脈硬化(MESA)の多民族研究と名づけられ、長期計画で進行中です。研究者たちは引き続き、男女からさらに対象を広げ、民族の異なった7,000人近くの人々を被験者にして、これらの人々の心臓病や心不全に影響を及ぼす要因を研究する予定です。

生まれたときは同じような心臓だったのに、加齢とともに重量や働きが違ってくるとは不思議な話です。でも、それが本当なら、新たな治療法の発見となり、助かる人が増えるでしょう。医学が着実に進歩し、多くの人が健康に年を取っていける時代になっているのは喜ばしいことです。

(文/スケルトンワークス)

 

【参考】

Male and female hearts age differently, study finds-Fox News

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