社会学者が提唱した「4つのタイプ別コミュニケーション対処法」

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2015.11.09

suzie.20151109

『タイプがわかればうまくいく! コミュニケーションスキル』(谷益美、枝川義邦著、総合法令出版)著者は、ビジネスコーチ&ファシリテーター。

肩書きはわかりにくいかもしれませんが、具体的にはセミナー・研修・会議などを通じて「対話の場づくり」をサポートしているのだそうです。

そんな著者が、脳科学者である共著者の協力を得ながら本書で説いているのは、コミュニケーションスキル向上のためのコツ。

■人間には4つのタイプがある!

最大のポイントは、人間には4つのタイプがあり、相手と自分がどのタイプに属するのかを知ることが重要だという考え方を基本にしている点。

自分と合う人から合わない人まで、世の中にはいろいろなタイプの人がいます。そこで、多様な相手とのコミュニケーションを楽しみたいなら、まずは相手と自分のタイプについて理解しておく必要があるということ。

人間を4つのタイプに分類する考え方は、「Social Style(ソーシャル・スタイル)」。1970年代に、社会学者のデイビッド・メリル氏が提唱した、相手と自分を知るための理論なのだそうです。

「自己主張」と「感情表出」の二軸を使い、人のタイプを4つに分類したもの。それぞれの特徴と対処法を知ることによって、使えるヒントが得られるわけです。

では、4つのタイプとはどのようなものなのでしょうか? それぞれを見ていきましょう。

■理解しておきたい4つのタイプ

【1】「指示されるのは大嫌い。思いどおりにやらせてよ」タイプ(現実派)

名づけてDriving(ドライビング)タイプ。

(自己主張:強/感情表出:弱)

生まれつきのリーダー気質。戦略や菖蒲が大好きで、指示されるのが大嫌い。自分の道は自分で決めるタイプで、褒められなくても平気。

強み:判断、決断が速い/打たれ強い/自己主張できる/ドライ

弱み:褒めること、相手に合わせることが苦手/怖いといわれる

ドライビングタイプの人と出会ったときは、「相手の記憶に残すこと」を意識するのが重要。彼らは誰かに支持されず、自分で判断したいので、「こうしませんか」「やりましょう」という提案も、他者主導だと嫌がる場合もあるとか。

ドライビングタイプがほしがる情報を提供し、最終的には「自分が判断した」と感じさせることがポイントだということです。

【2】「楽しくなければ意味がない。盛り上がっていこう!」タイプ(感覚派)

Expressive(エクスプレッシブ)タイプ。

(自己主張:強/感情表出:強)

仕事も勉強も楽しくしなくちゃ! サプライズが大好きで、なんとかなるさと楽観的。細かいことは気にしない。やってみてから考えます。

強み:アイデア豊富/行動力/まわりを巻き込む/社交性/ノリと勢い

弱み:忘れっぽい/飽きっぽい/ルーティンが苦手/地道な努力

エクスプレッシブタイプはノリと流れでテンポよく、楽しく物事が決まっていくことを好みますが、縛られるのは大嫌い。そこで、「変更ありで、仮で決めておこう」と自由度を感じさせることも大事。

また、盛り上がるのも早いものの、忘れるのも早いのがこのタイプ。そこで「今度飲みに行こうよ!」「いいね!」となったら、「いつにする?」とついでに予定を決めてしまうといいそうです。

【3】「みんなのためならがんばれる。きちんとお役に立ちたい」タイプ(協調派)

Amiable(エミアブル)タイプ。

(自己主張:弱/感情表出:強)

人間関係に波風を立てず、常に穏やか。「困っている人はいないかな、期待されていることはなんだろう」「みんなのためならがんばれます」というタイプ。

強み:親切/やさしい/気配り/サポート/思いやり/癒し

弱み:決断できない/プレッシャーに弱い/人前で話すこと

人と仲よくするのが大好きで、しかし少々及び腰なエミアブルタイプに、どんどん押すのは逆効果。「はじめまして」のシーンでは、SNSや共通の話題など、接点を持つことを目指すべきだといいます。

どちらかというと受け身な彼らは、聞くのは得意でも話すのが苦手。自分の話をニコニコ笑顔で聞いてくれると安心して、おしゃべりも弾んでリラックスするとか。相手のペースに合わせたうなずき、相づち、反応によって、「この人なんだか話しやすい」と思ってもらえる聞き上手を目指すといいそうです。

【4】「やるべきことは正確に、計画どおりに進めましょう」タイプ(思考派)

Analytical(アナリティカル)タイプ。

(自己主張:弱/感情表出:弱)

まずは計画、事前準備。自分の専門を大切に、ミスは少なく確実に。いつもどおりにきちんとやろう。コツコツ継続してこそ価値があると考えている。

強み:正確/コツコツ/継続/分析/調査/マイペース/計画/現実主義

弱み:行動が遅め/話が長い/人づきあい/雑談/アイデア出し

アナリティカルタイプとの出会いのゴールは、相手の専門性や、興味の範囲を見極めること。基本的に自分から働きかけるタイプではないので、こちらが相手を知ることで、必要になったら連絡できる状態を目指すといいそうです。

人づきあいがどちらかといえば苦手な彼らに、いきなり近づいても敬遠されがち。誰か知り合いがいたら、紹介してもらうのがベストだとか。

■どれもあてはまらない場合は?

「どれもピンとこない」「どれもあてはまる」という場合は、「バランス型」。このタイプについて著者は、自分の感情に関係なく、相手や場面に合わせつつ、その場で態度を変えていく傾向があるからかもしれないと分析しています。

著者がここで強調しているのは、「どのタイプがよい、悪い」ということではないということ。また占いではないので、分類して終わりというわけでもないともいいます。

ソーシャル・スタイルは、人それぞれのコミュニケーションの傾向=クセを知り、自己流コミュニケーションの幅を広げて状況をあげるためのヒントとなる理論。

自分の傾向がわかったら、あとは相手を分析し、個別対応していくことが大切。

自分の身のまわりの人を思い浮かべながら、「あの人の傾向はどうだろう?」と想像することが大切だということです。

著者自身が「バランス型」も存在すると認めているとおり、すべての人が4つのタイプに分けられるとは限らないでしょう。

しかし少なくとも、基準にはなるはず。コミュニケーションを円滑にするために、本書を活用してみるのもいいかもしれません。

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

※谷益美、枝川義邦(2015)『タイプがわかればうまくいく! コミュニケーションスキル』総合法令出版

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