紙は火をつけたら燃えます。
「なにを当たり前のことを」と思われるかもしれませんが、この常識を覆すものが存在するのです。それは、紙でつくった鍋。水を通さない紙をつくれることは、紙コップなどでご存知だと思います。しかし、それを火にかけちゃっても大丈夫なの?
カギを握るのは、温度。紙鍋の驚きの仕組みを紹介します。
■水の温度は最高何度?
水が100度で沸騰することは誰でも知っているはず。小学校時代、理科の授業で実験したこともあるのでは?
では水の温度は、最高で何度くらいまで上がるのでしょうか?
実は、水の温度は100度までしか上がりません。水を加熱すると100度で沸騰しますが、さらに加熱し続けてもそれ以上にはならないのです。
なぜなら、100度以上になった水は水蒸気になってしまうから。水蒸気になると、温度は1000度以上にまで上昇させることができます。
■紙に火がつくのは何度?
物質はそれぞれ「発火点」という温度が決まっています。これは、火源がなくても物質に火がつく温度のこと。物質の温度が発火点以上になると、火をつけなくても自然に燃えだします。木材は250~260度、木炭は250~300度など、物質によって発火点は異なります。
紙は簡単に燃えるイメージがありますが、発火点は意外と高く、450度ほどです。つまり紙は450度以上になると発火しますが、それ以下の温度で自然発火することはないのです。
■水と紙を合わせると?
では水を通さない紙に水を入れ、下から火で加熱するとどうなるのでしょうか。
水はだんだん温度が上がって、100度に達します。水はお湯になって沸騰しますが、そのまま加熱し続けても100度以上にはなりません。ずっと100度のままです。
紙も水が入っている限り、100度以上にはなりません。紙の発火点は450度ほどですから、あと350度ほど温度が上がらないと火はつかないのです。
もちろん水の入っていない部分に火を近づけると燃えてしまいますので、実験する際は気をつけてください。
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日本料理では昔から使われている紙鍋も、紙と水の温度を利用したものだったんですね。これから本格的な鍋シーズン。ちょっと変わった紙鍋も試してみてはいかがでしょう?
(文/スケルトンワークス)
【参考】