クリスマスが近づいてきて、街中でイルミネーションをよく見かけるようになりました。
都内にはイルミネーションスポットが数多く存在しますが、今年は目黒川沿いに注目が集まっています。
なぜなら、ただキレイなだけではないから。なんと、廃油を活用したエコなイルミネーションなのです。
■冬でも見られる桜を21万個のLEDライトで表現
11月20日から12月25日まで目黒川で開催中の、「目黒川みんなのイルミネーション2015」というイベント。
目黒川沿いに植えられている桜のうち、五反田駅から徒歩約6分の場所にある「五反田ふれあい水辺広場」から大崎ゲートシティまでの700メートルほどに、イルミネーションが飾られています。
ピンク色のLEDライトで表現されているのは「冬の桜」。
その数、21万3,200球。ピンクの光が目黒川の水面に映って、実際よりも多く見える感じです。この季節には街を彩る華やかな飾りが多いですが、考えてみればピンクは少ないですよね。
そして、このLEDライトを灯す電気は、家庭で出る食用油の廃油を活用して100パーセント自家発電しているのです。地域の家庭で出た廃食油を回収し、それをバイオディーゼル燃料にリサイクルします。
しかも、この油の回収に使うトラックも、廃油で走る車両を使っているという徹底ぶり。
五反田ふれあい水辺広場には、専用の設備がありました。モーター音が聞こえていたので、ここで発電しているのでしょうか?
■日本国内で食油は年間40万トンも廃棄されている
「目黒川みんなのイルミネーション2015」のウェブサイトによると、日本国内で1年間の間に廃棄される食用油の量は、飲食店や企業などから約20万トン、一般家庭からもほぼ同じく約20万トン。
そのうち家庭からの廃油は、再利用されることなく河川などに捨てられるそうです。それが環境破壊などにつながっていることは、想像に難しくないですよね。
この廃食油をエネルギーとして再利用できるようにしたのが、バイオディーゼル燃料。大気汚染の原因となる硫黄酸化物がゼロなど、地球環境にやさしいエネルギーです。
環境にやさしい上に、見慣れた街をこんなに美しく彩ってくれるなんて、うれしい限りですね。12月25日まで毎日、17時から22時まで点灯しています。
おりしもフランスのパリでは11月30日から12月11日まで、温暖化対策に取り組むCOP21(気候変動枠組み条約第21回締約国会議)が開催されています。
ピンクのLEDに心を癒されつつ、地球環境について考えてみてはいかがでしょうか?
(文/松丸さとみ)
【参考】