10年で4000%リターン実現の投資家に学ぶ「お金の考え方」

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2015.12.04

suzie.20151204

『世界的な大富豪が人生で大切にしてきたこと60』(ジム・ロジャーズ著、プレジデント社)の著者名を見て、ピンときた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

それもそのはず、彼は世界的に大きな影響力を持つ投資家であり、同時に、多くのベストセラーを生み出してきた作家でもあるからです。

米アラバマ州の貧しい家庭に生まれ育った彼は、奨学金でイェール大学を卒業し、オックスフォード大学ベリオールカレッジ修了。そののち投資会社クォンタム・ファンドを設立して巨額の富を得た実績を持っています。

なんと、彼の投資は10年間で4000%を超える驚異のリターンを実現しているのだとか。

それだけでもすごいのに、37歳で引退してからは世界を旅し、現在はシンガポールへ移住。なんともうらやましい生き方を実践しているわけです。

本書は、そんな人だからこそ書けたといえる投資哲学集。しかし決して難解ではなく、もっと広い意味での人生哲学としても読むことができます。

ここではそのなかから、お金に関する話題をピックアップしてみたいと思います。

■人やモノなどはお金の流れについていく

アメリカ経済に目を向けてみればわかるとおり、現在、アングロ・サクソンを中心とした「西洋モデル」が行き詰まりを見せています。

その結果、世界の債権国は中国、日本、シンガポールとアジアに集中。

こうした情勢について著者は、人、モノ、芸術、すべてがお金の流れについていくものだと記しています。

先に触れたとおり著者はアメリカからシンガポールに引っ越しましたが、それもこのような世界の動きから判断したものだということ。

■著者は「バブルは必ず崩壊する」と予測

リーマンショック前の住宅ブームについては著者も、「明らかに異常」だったという印象を持っているそうです。

「アメリカで過去にあんな事態が起きたためしはなかった」とも書いているので、皮膚感覚としてかなりの衝撃をおぼえたのでしょう。

頭金もなく、仕事にも就いていない人が何軒も家を買えたわけですから、当然といえば当然です。

そんなおかしな光景を目の当たりにしてきたからこそ、著者は「バブルは必ず崩壊する」と断言しています。

過去の歴史を振り返れば、容易にわかることだとも。

■ひたすらお金を刷っても問題解決しない

大昔から、経済的に行き詰まると、政治家たちは「お金を刷る」という手段に走ってきたものです。

しかし歴史を紐解くと、こういった政策がよい結果をもたらしたことはないとか。

単純な話で、自国通貨の価値を下げるということは、結局のところ不健全なインフレを引き起こし、自国民を苦しめることになるからです。

また、著者は増税には大反対だそうです。ここで、日本の話題を出しています。

もしも著者が日本の政治家だったとしたら、お金を刷るのをやめて債務を減らす努力をし、減税して大幅に支出を減らし、関税も減らす。そして、移民を受け入れると。

「まあこのようなことをいっていたら、日本の選挙で絶対に当選はしないでしょうけどね」とオチをつけていますが、少し残念な気もします。

そして著者はリーマンショックあと、遠からず世界で通貨危機が起こると予言したのだそうです。

事実、中東ではすでに起こっています。

「アラブの春」と呼ばれる革命が起こった真の理由は、人々が政府の思想に反対したからではなく、自国通貨が弱くなってインフレが起こり、日用品が高騰して生活が苦しくなったからだということ。

■アメリカは弾丸を全て撃ち尽くしている

国際の債務不履行ということになれば、アメリカは未曾有のインフレに見舞われるだろうと著者。

そうなると政府は、もはや国の借金を膨張させることも、紙幣の増刷もできなくなるといいます。

そのときに直面する問題は、2008年の金融危機よりもさらに深刻で、過去最悪なものになるだろうと考えているそうです。

アメリカはすでに、すべての弾丸を撃ち尽くしているということです。

■大惨事のあとに新たなチャンスが芽吹く

著者はふたたび、日本のことを話題にしています。

たとえ、第二次世界大戦よりひどい状況になったとしても、過去の歴史や哲学から学び、自分の目で現実を確かめ、準備しておけば生き延びることはできるはずだと。

事実、世界大恐慌のあとの1930年にも、多くの人が新たなビジネスを立ち上げましたし、日本も例外ではなかったといいます。

もちろん戦争のおかげで一度はだめになってしまったけれども、戦後は見事に立ちなおったのですから。

1テーマが1見開きで、本文は左ページにまとめられているシンプルな構成。

空いた時間を利用してさっと読めるので、忙しい人のも最適な一冊だといえるでしょう。

ぜひ手にとってみてください。

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

※ジム・ロジャーズ(2015)『世界的な大富豪が人生で大切にしてきたこと60』プレジデント社

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