ひとり暮らしをしていると、体調を崩したときに心細くなったり、「自分がもし倒れたら誰か見つけてくれるのかな……」と不安を感じたりするもの。
実はいま、孤独死の増加が指摘されています。
現在は年間死亡者数約125万人のうち、孤独死は約3万人。しかし未婚者の増加や単身化が進む日本では、2040年ごろに孤独死者が年間20万人に達すると予想されています。
孤独死は高齢者に限った話ではありません。30代、40代の突然死が増えているという統計もあり、若い世代にも決して他人事ではないのです。
では万が一のときのために、おひとり様はなにをすればいいのでしょうか? ひとつは、自分の死後にお金のトラブルが起こらないように、今からできることをちゃんとしておくことです。
そこで今回は節約アドバイザーのヨースケ城山さんに聞いた、おひとり様の死後トラブル対策をご紹介します。
■1:自分の借金を把握する
まずは自分に借金があるかを把握しましょう。もしあれば、「どれだけあるか」がわかるように書類をまとめておきます。相続の問題があるからです。
たとえ少額でも、財産は相続する権利がある「法定相続人」に移転します。生涯独身の方の場合は、父母か兄弟姉妹に財産が分割されることになります。
ですが借金があると、その分も法定相続人が相続する必要性が生まれます。借金をしていることを隠したまま死んでしまうと、法定相続人は普通に相続して、借金も引き継いでしまうことになるのです。
ただし借金があることがわかっていれば、相続放棄という制度を利用し借金を相続せずに済むことができます。相続放棄とは、法定相続人が相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に家庭裁判所で相続の放棄ができるというもの。
そのため法定相続人が借金の相続をしないよう、借金がある場合は書類整理をおしておくことが大事。返済計画書や督促状、カード明細書などをファイルで保存しておきましょう。
■2:カードローンはすべて書面に残しておく
借金のなかでも、カードローンの借金がある場合は要注意です。複数の貸金業者から借金をしている人は、どこからお金を借りたかわからない状況になっていることも……。
ですが、身内に迷惑をかけるのは避けたいもの。大変な作業かもしれませんが、自分がどこから、いくら借りているのかがわかる書類を作成してください。カードの明細書は必ず残しておきましょう。
また知人からお金を借りている場合は、書面がないことがほとんど。しかし本人が死亡して記録がないと、あとで貸した金額以上を法定相続人に申告してくる可能性もあります。
そのため知人からの借金がある場合は、借金の一覧表をつくってください。借りた人の名前と金額、返した額などを記載しましょう。
■3:預貯金を預けてある銀行も書面に残しておく
書面に残しておくのは、借金だけではありません。預貯金のある場合は、自分が利用している銀行名と口座名、口座番号を書いておきます。暗証番号や印鑑の場所等は危ないので記載しないでくださいね。
亡くなると銀行口座は凍結されますが、相続開始以後は口座が解約され、相続人による預金の払い戻しが可能になるのです。
また、おひとり様の場合は、家計状況を内緒にしている人が多いはず。しかし身内には、少しずつお金のことを打ち明けることも大切になってきます。
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もしものとき、なにも準備をしていなければ、身内が相続で大変な思いをするかもしれません。一生独身で生きていくと決めたなら、身辺整理は定期的に行うようにしたいですね。
(文/椎名恵麻)
【取材協力】
※ヨースケ城山・・・節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、AFP、住宅ローンアドバイザー、年金アドバイザー。
著書は『給料そのままで「月5万円」節約作戦!』(ごま書房新社)。本の内容は、『らくらく貯蓄術。住宅ローン地獄に落ちない為の家計防衛のススメ。』にもまとめられている。
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