こんにちは。深沢真太郎です。
ビジネスパーソンを数と論理に強くする「ビジネス数学」を提唱する、教育コンサルタントです。
「逆から考えよう」
ビジネスなどでよく見かけるこのフレーズ。
あなたは本当の意味でこの言葉の意味を理解しているでしょうか。
■意外とできない人が多い「逆から考える」
たとえば簡単な算数で考えてみましょう。
今から3つの計算問題を出題します。最終的には「問3」の計算結果を答えください。
問1)◯+1=□
問2)□+2=△
問3)△×0=?
こんな出題をされたとき、まさかあなたは「問1と問2で◯や□や△を使って連立方程式を……」などと考えたりしませんよね。
問3の内容を見れば、すぐに正答は「0」であることに気づくはずです。
つまり、スタートから順序立てて考えなくとも、ゴールを最初に確認し、必要な作業だけすれば事は済むということです。
逆から考えた方が、しなくて済む思考や作業を省くことができる。何を当たり前のことをと思われたかもしれません。
しかし、この当たり前のことが実は多くのビジネスパーソンが仕事の場でできません。
たとえばプレゼンテーション資料を作成するという仕事。
なんとなく考えながら資料を作っていく。あなたにもそんな経験、ありませんか?
でも、それは仕事の仕方として間違っています。
時間をかけた割に、結局は先月作った資料とほぼ同じものをイチから作成していたり、目的を見失った自己満足なプレゼンテーション資料ができあがったり。
まずはゴールを確認しましょう。何をプレゼンするのか、最終的に聴き手にどう思ってもらうのが目的なのか、そのために必要な情報は何なのか……。
つまり、ゴールからスタートに向かって考えるのです。
■逆から考えることがビジネスで重要な理由
ゴールが明確になれば、もしかしたら先月の資料の8割はそのまま流用できるかもしれません。もしかしたら、10枚もスライドを作る必要などなく、たった3枚で十分なプレゼンテーションかもしれません。
たとえば、いつまでも終わらないダラダラ会議。
なぜそんな不毛な時間が生まれるかというと、それはゴールから逆算して考えていないからです。ゴールを決め、そのために何を決めるかを逆算すれば、開始10分までに何を共有し、開始20分までで何を合意するか、必然的に決まってくるはずです。
仕事がデキる人は、みんなこの「逆から考える」という思考回路を持っています。
だから成果を出せる人ほど、無駄な仕事をしていない。
だから成果を出せる人ほど、残業せずにさっさと帰る。
「逆から考える」
なぜこれが大切なビジネス思考なのか、ご理解いただけたでしょうか。
そして、極めて簡単な計算問題で説明がつくほど、誰でも理解できる当たり前のこと。
デキる人とそうでない人の差なんて、これくらいちょっとした差なのです。
(文/深沢真太郎)
【参考】
※深沢真太郎(2015)『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』日本実業出版社