『相手の心を一瞬で惹きつける型破りな新ルール引寄せ営業の法則』(太田章代著、秀和システム)の著者は、「対人恐怖症のフリーター」というマイナスからのスタートであったにもかかわらず、32歳で統括本部長となり、35歳で社長に就任したという人物。
ドラマのように劇的な展開ですが、そんな著者の人生がプラスの方向へと進んだことには、あるひとつの理由があるのだそうです。
それは、「自分らしく生きると、よい引き寄せがある」ということだとか。つまり本書では「引き寄せパワー」の上げ方が明かされているわけです。
そしてもうひとつのポイントは、“魔法の数字”「3」が成功への近道だという考え方。
■第一印象は3秒で勝負が決まってしまう!
第一印象は、パッと見の3秒で決まるもの。
はじめの3秒には五感のなかの視覚的要素が強く働くため、服装、髪型、表情、態度、しぐさ、目付きなどを見て瞬時に「この人はこんな人」と判断してしまうのだそうです。
「人は見かけで判断するな」といわれますが、現実的にはほとんどの人が見かけで判断してしまうもの。
だからこそ第一印象が大切で、この段階で悪い印象を持たれると挽回するのに時間がかかるといいます。
特にビジネスの現場で「この人と仕事がしたい」「また会いたい」と思われるためには、最初の印象がとても重要。
そして著者によれば、第一印象をよくするためには、3秒以内に笑顔を見せることがいちばん大切なのだそうです。「売り上げの半分は笑顔でできている」といっても過言ではないとすらいいます。
■第二印象の3分で印象がよくも悪くもなる
そして次は「第二印象」。あまり聞きなれない言葉ですが、第一印象の次の段階。実際に話してみた相手の印象のことで、それは3分で決まるもの。決め手となるのは、話し方、声のトーン、スピードなどです。
第一印象が悪くても、第二印象がよくなっていればOK。しかし、第二印象が悪くなっているケースは問題。
では、第二印象をよくするにはどうしたらいいのでしょうか?
この問いに対して著者は、自分が相手に与えたい印象によって話し方を変えることを勧めています。
毎日忙しいビジネスマンには早口の人がいますが、早口だと「軽率」「自己中心的」「せっかち」だと見られがち。
頭の回転が早く次々と言葉が出てくるのですが、早とちりや失言も多いのだとか。それでは、相手も疲れてしまうというわけです。
そこで印象をよくするためにチャレンジしたいのが、いまよりゆっくり話してみること。
たったこれだけで、相手に与えるイメージがガラッと変わり、「知的」「冷静」「落ち着きがある」「品がある」ように見えてくるといいます。当然、相手も聴きやすく感じることになります。
■第三印象の30分で相性まで判断される!
出会って30分で、本性までがわかるはずはありません。とはいえ人は、見た目の印象と話した印象とを合わせて30分で、「気が合いそう」「気が泡なさそう」と判断するもの。
今後おつきあいが続くか続かないかは、第三印象の30分で決まってしまうということです。
というのも、この30分の印象は、五感に染みついて離れないものだから。
印象がよく、気が合いそうだと思われても、すぐに契約に結びつかないケースもあります。
しかし、第三印象がよい状態で商談が終わったときは、相手もしっかりおぼえているもの。つまり、「機会があれば声をかけよう」と思っている状態。
営業の種まきは、すぐに目が出るものもあれば、時間が経ってから目が出るものもあります。だからこそ第三印象は、目が出るか、出ないかを決める重要なポイントだということです。
■人柄を伝えるためには「自己開示」が大切
だからこそ著者は、第一印象と第二印象が悪くても、第三印象で人柄がわかってもらえれば名誉挽回は可能だと断言します。
そして、人柄をわかってもらうために大切なのは「自己開示」だとも。
自己開示とは、自分に関する情報を、ありのままに伝えること。なぜなら、仕事もプライベートも秘密が多く、なにを考えているのかわからない人には近寄りづらいものだから。
また自己開示には、「返報性の法則」があるのだとか。相手が開示した情報と同じ程度、自分も自己開示をするということです。
自己開示が多ければ多いほど、相手は親近感を持ってくれるもの。
しかし、だからといって仕事でプライベートをさらけ出すのは考えもの。自分の人柄の部分を、話のなかで小出しにしていけばいいわけです。
*
他にも、ラッキーナンバー「3」についてのエピソードがたくさん。それ以外のトピックスも含め、営業マンにとって「使える」一冊だといえるでしょう。
(文/書評家・印南敦史)
【参考】
※太田章代(2015)『相手の心を一瞬で惹きつける型破りな新ルール引寄せ営業の法則』秀和システム