優れたリーダーが自ら強化&改善に取り組むべき「三要素」とは?

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2015.12.11

suzie.20151211

GEやグーグルなどの大手企業が注目していることでも知られる「マインドフルネス」とは、端的にいえば「いま、目の前に集中すること」。

リーダーとして集中力を高め、「やるべきこと」で確実に成果を出すための方法論です。

『マインドフル・リーダーシップ ”今”に集中するほど、成果が最大化される』(田口力著、KADOKAWA)のコンセプトは、意識を集中させてマインドフルになる習慣をつけること。その結果として、毎日の習慣はもちろん、人生までをも大きく変革させることができるのだといいます。

でも、そもそもなぜマインドフルな状態になる必要があるのでしょうか?

世界最高のリーダー育成機関として知られる「クロトンビル」で唯一の日本人としてリーダーシップ研修を任されていた著者によれば、それはリーダーにとっていちばん大切なことである「自分を知る」ための第一歩だから。

目の前のことに集中するという意識的な気づきが積み重なり、自覚や自己認識につながるともいえるそうです。

だとすれば気になるのは、「優れたリーダー」のあり方です。

■優れたリーダーの三要素とは?

自分を知るということはとても広範囲におよび、かつ深みがあること。そう主張する著者は、リーダーが最低限知っておくべきカテゴリーを、3つに分けて紹介しています。

それは、「知力」「体力」「気力」に関わる属性。優れたリーダーたちは、この三要素に磨きをかけるため、日々努力を重ねているのだとか。

また、この三要素は独立して機能するものではなく、掛け算のような関連性があるのだといいます。その掛け算の結果が、その人が発揮できるリーダーシップに関する潜在能力の大きさを示すということ。

■重要なのは三要素の強化と改善

ところでお気付きのとおり、この三要素は決して意外性の高いものではなく、それどころかきわめて常識的なもの。

しかし、あまりに常識的すぎるため、磨きをかけることを忘れてしまいがちな事柄でもあるといいます。

たとえば優れたリーダーたちは、数々の修羅場を経験しているもの。そんなとき、この三要素が鍵になるといいます。

困難な状況に直面したとき、正面から向き合って取り組んでみれば、自分の本当の強みと弱みを認識できるもの。

その強みと弱みの根元が、この三要素のいずれかにあるということに気づいた人は、誰かにいわれることもなく、自らその強化と改善に取り組むということです。

■知力は学習能力と意志力と知性

知力について著者はまず、これは知能指数が高いとか、多くの知識を備えているというだけの問題ではないと記しています。

なぜならそれは、どんなにがんばってもコンピューターにはかなわないから。

また、知能指数だけでは優れたリーダーや社会的に尊敬されている人たちの成功要因として説明がつかないという側面もあるそうです。

知力としての属性に求められるものの第一は、学習能力。いいかえれば、経験から教訓を学び取る力です。

第二は意志力。自分を内側から前進させる推進力ともいえるといいます。

そして第三が知性。といっても先に触れたとおり知能の高さや知識の豊富さを意味するのではありません。そのふたつを、自分の人間性を高めるために、洞察力と掛け合わせて使うことが大切だということ。

■体力はエンジンを回すガソリン

いま、グローバル化などの経済環境の変化は、私たちにさまざまな対応を求めています。身体的な能力に対して求められる要件にしても、それは同じ。ここで著者が取り上げているのは、「コーポレート・アスリート」という考え方です。

ハードな仕事をこなすためには、本人のスタミナやエネルギーが必要。企業で働くビジネスパーソンであっても、スポーツ選手のように心身を鍛えることが求められているわけです。

ちなみに著者は研修の場などで、リーダーに求められる頭の要件を車のエンジンにたとえているのだそうです。

回転の速い頭は、いわば回転数が高域まで出せるエンジン。しかし同時に、強い頭であることも重要。高速回転のまま、長時間回し続けられるエンジンであるかどうかということです。

そして、高回転させながら頭を長時間使えるようになるためには、知力を鍛えることだけではなく、エンジンを回し続けるだけのガソリンを補給することも必要。つまり、このガソリンにあたるものが体力です。

■気力はマインドフルネスの中核

気力とは、情動的な働きのこと。エモーショナル・インテリジェンス、あるいは心の知能指数として知られている要素だそうです。

今後、マインドフルなリーダーがますます求められるようになる背景と、この情動的な働きには密接な関係があるのだとか。

そしてそれは背景だけではなく、マインドフルネスの中核をなす要素でもあるのだといいます。

著者がいうように、マインドフルネスの実体は簡潔でシンプル。

しかしシンプルだからこそ、リーダーもしくは将来のリーダーにとっては応用範囲が広そうでもあります。

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

※田口力(2015)『マインドフル・リーダーシップ ”今”に集中するほど、成果が最大化される』KADOKAWA

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