長く働くことが当たり前の時代になってきました。
少し前までは55歳だった定年は、いまや60歳で、再雇用は65歳まで。しかし65歳定年、70歳定年の可能性も見えてきました。
65歳以上になっても働きたい人には、どのようなことが必要なのでしょうか。
『正しい家計管理・長期プラン編 老後のお金』(林總著、WAVE出版)より、65歳以降も働き続けたいと感じる人に対するアプローチをご紹介します。
■1:知的労働で人よりも一歩先に行く
長く働くためには、知的労働を行うことが大切。
たとえば医師には高度な知的労働というイメージがありますが、現在のところ、肉体労働の割合が高く、なかなか「医師だからこそ知的労働」というわけにはいかないようです。
しかしアメリカだと、医師は医師の仕事だけをするため、分業がしっかりとなされています。看護師も同じで、検査室の予約など他の人でもできる仕事は補助者が担当します。
こうして知的労働は知的労働に集約したほうが、長く働くのには適しているのです。
自分の仕事が、「誰がやっても同じ仕事」なのか、そうではないのか、しっかり見極める必要があります。
専門性があり、信頼関係が築かれていて、代替不可能な存在であるかをしっかりと確認しましょう。
税理士であったら、会計ソフト以上の価値をクライアントに与えられているか、いま一度確認して見る必要があります。
「自分ひとりにしかできないこと」は、能力だけとは限りません。人格、笑顔、思いやり、周囲への癒しといったパーソナルな部分も、長く仕事をしていくうえでの大きな財産となるのです。
■2:軸足を定める
仕事に高度な専門性があると、軸足が定まります。最低限食べていくことができ、興味と経験を広げていくことが可能なのです。
30代前半は、軸足を定めていろいろなことにチャレンジする修行期間。
以後、40代にかけて得意分野を見極めて絞り込み、50代前後から収穫期に入っていく。
その先に、年齢に関係なく社会から求められるキャリアが開けていきます。
強いのは医者や弁護士などですが、営業でも、セールスのノウハウを活かしてマネジメント職になり、管理職として経験を積む道もあります。また、専門性を磨いて人事部に転職したりすることも可能。「人を見る目」を活用することもできるのです。
SEなら、技術的な知識をベースとして、リーダーシップや営業、コスト面に関する知識を磨いてマネジメント職につけるでしょう。
企画が得意ならば起業してみたり、フリーランスになってみたりなど、さまざまな選択肢があります。
軸足を定めて、そこから発展的にキャリアを切り開いていくのが正しいキャリアの開拓方法です。
著者もコンサルティングだけではなく企業の副社長などを経験し、幅広いキャリアを積んだ結果、68歳で大学の教鞭を取ることになったそうです。
*
少しでも豊かな老後のために、どちらかひとつでも始めてみてはいかがでしょうか。
なお本書には、記載するだけで老後のお金についてもイメージできるようになるシートも付属しています。65歳以降も働きたい人はぜひ読んでみてください。
(文/渡邉ハム太郎)
【参考】