いま日本では、免許なしで保育士になれるようになるかもしれないと注目されています。
日本の保育士は薄給で、割に合わない仕事なので人材不足なのです。
では、アメリカではどうなのでしょうか? その点を明らかにするために、日米の保育士を比較してみました。
■アメリカの保育士は学位が必要
アメリカでは高卒の保育士も多いのですが、主任先生クラスになると学位を持っている人も少なくありません。ただしその前提として、2年制の短大や4年制の大学でEarly Childhood Educationを専攻して学位を取得する必要があります。
またキャリアアップやお給料アップのために、Certificate Programという1年程度のプログラムに通う場合もあります(オンラインや夜間コースなどがあります)。
アメリカでは保育士の免許はないので、学位が代わりに必要になるようです。
一方、日本の場合は保育士の専門学校に通うなどして、国家資格である保育士資格の取得を目指します。
幼稚園教諭とはまた免許が違って、別の試験となります。保育士の資格は専門学校に通わなくとも試験に合格できますが、幼稚園教諭になるには学校に行く必要があります。
■保育士の資格取得にかかるお金
学校に通う以上は、当然ながら数十万円~数百万円が必要となります。
アメリカではPreschool(幼稚園)とDay Care(保育園)に分かれており、Preschoolでは大卒の先生を採用するところが大半。CDA(Child Development Associate)というコミュニティスクールで、比較的簡単に取れる保有資格者を採用する場合もあります。
Day Careに多いのはCDA採用。担任の先生を補助するTeacher Assistantなら、CDAを持っていなくとも採用される可能性があります。
学費なしで高卒で採用される場合もあり、CDAに通っているアメリカ人ならタダ同然だということです。なお、資格の更新料は125ドルになります。
一方、日本では専門学校に通っておよそ300万円ほど。かなりの高額です。
それほどまでにお金をかけて、いくらぐらい稼げるのでしょうか?
■アメリカの保育士も年収は低め
残念ながら保育士・幼稚園教諭は、アメリカでももっとも薄給の給与といわれており、時給は8ドル前後~9.5ドル前後。日本円にして800~950円です。
駐車場係やレジ係よりも安く、小学校の先生よりも低いのです。学歴としては小学校の先生と変わりないのに、給与は1/3程度に抑えられており、問題となっています。
日本では月給13万円前後。これでは暮らしていけませんよね。
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日本でもアメリカでも、薄給には変わりないようです。
人格の骨格をなす幼稚園・保育園の時期に関わる先生は、とても大切な存在。ぜひ待遇改善をお願いしたいですね。
でも、そのために保育料が大きく上がっても困ります。だからこそ、公的資金を導入するしかないのかもしれません。こういった税金の使い方なら、大歓迎ではないでしょうか?
(文/渡邉ハム太郎)
【参考】