9割できたらそれでOK!誰でもできる「なりたい人になるコツ」

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2015.12.17

suzie.20151217

『「なりたい人」になるための41のやり方』(窪田良著、サンマーク出版)の著者は、さまざまな方面において能力を発揮し、多くの実績を打ち立ててきた人物です。

まずは研究者として、緑内障の原因遺伝子である「ミオシリン」を発見し、「須田賞」を受賞。眼科専門医としても緑内障や白内障などの多くの執刀経験を持ち、2000年の渡米後はワシントン大学に助教授として勤務。そののち米国で創薬会社をつくり、それを日本で上場させたというのです。

いかにも“夢をつかんだ人”のように見えますが、本人はまだ「なりたい人」に完全になれたわけではないと考えているのだというのですから驚きです。

しかし、いずれにしても「こんなことをやってみたい」と思ったことはほぼ全部やってこられたそうで、そこには大きな鍵があるといいます。

それは、「なりたい人になるためのやり方」のようなものを実践してきたからだということ。

でも特別なことではなく、「誰もが再現可能なやり方」でもあるといいます。

また、それに加えて著者は気になる発言をしてもいます。

■全体の9割できたらそれで満足する

物事を深く掘っていくとき、「どこまで掘ればいいのか」ということについては、人によっていろいろな考え方があります。

あえて答えを出すとしたら、「自分が満足するところまで」ということになるはず。

では、著者はどうなのでしょう? これが少し意外なのですが、「これまでの人生を振り返ってみると、だいたい9割まで行ったな、というところで満足し、道を変えてきたように思う」というのです。

ただし「9割で満足する」といっても、ゴール目前、最後の最後で放り出すという意味ではないそうです。

目指したゴールに達した瞬間、「その道をそのまま進み、極めていくのか」「別の道を選び、アプローチの仕方を変えて進むのか」と考え、その結果として、極めるのではなく、さらなる挑戦の道を選ぶということ。

なにをやりたいのかは、人それぞれ違って当然。「0→1」でも「1→10」でも「1→100」でも、どれにも狩りがあり、どれを選ぶかは好みや向き不向きで決めればいいわけです。

そして著者の場合は、たまたま新しいものをつくり出すことに最高の魅力を感じるのだということ。そして、だからこそ9割で満足できるそうなのです。

■完璧を目指す道が向いていない人も

努力による進歩は、ある一定のレベルに達すると横ばいになり、その先は努力を重ねてもあまり伸びなくなるのだそうです。

たとえば5年かけて9割の成果が上がったとしたら、残りの1割を達成するためにはさらに5年、場合によってはそれ以上の時間と労力がかかるということ。

もちろん名工といわれる職人さんのように、そこからも日々精進を重ねて完璧を目指す人もいますし、それはそれですばらしいこと。

でも「完璧を目指す道」が向いていない人もいて、たとえばそのひとりが著者。

だとすれば、そういう人は9割のところで満足すればいいという考え方なのです。

イノベーションの世界ではよく、「Perfect is the enemy of good」(最善は善の敵)といわれるそうです。

完璧を追い求めるあまり、負担がかかりすぎて物事が達成できないことがあるもの。だとすれば、9割で満足するくらいの気持ちでいる方が、結果的に大きなことが達成できるというわけです。

また、ある地点で満足して道を帰ることには、イノベーションを起こすためには、道の世界同士をどんどんつなげていった方が絶対にいいと思っているからでもあるといいます。

「0→1」を目指す道では、ひとつのものにこだわらず、9割くらいのレパートリーを増やし、そのコンビネーションで勝負した方がおもしろいものが生まれるということです。

■この世は「完璧」が成立しない世界

そして、そもそも「完璧」などというものは成立しないとも思っているのだそうです。

なぜなら著者のいる医学の世界に「完璧」といえるものはないから。

病気は同じでも、患者さんの状態は一人ひとり違うもの。手術をするにしても、たとえどれだけ経験を積んできたドクターだったとしても、「その人の手術」はぶっつけ本番の一回限り。

つまり手術に「成功」することはできても、その「成功」が「完全な成功」だったのかどうかは比較対照できるものではない。

「完璧」が成立しない世界だからこそ、自分で満足できる範疇で、より多くの人から満足してもらえるものを目指し、どこかで思い切って区切りをつけ、よしとするしかないということ。

「なにごとも完璧でなくてはいけない」と考えてきた人にとっては、目からウロコが落ちるような考え方ではないでしょうか。

しかし、これはどんな仕事についてもいえることであるようにも思えます。

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

※窪田良(2015)『「なりたい人」になるための41のやり方』サンマーク出版

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