60歳でTOEIC満点の通訳者が語る「英語が身につく勉強法」

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2015.12.18

suzie.20151218

『「英語が話せない、海外居住経験なしのエンジニア」だった私が、定年後に同時通訳者になれた理由』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者・田代真一郎氏は、プロ通訳者として活躍する人物。

とはいっても英語の素養があったわけではなく、もともとは自動車会社で働く普通のサラリーマンだったのだといいます。

それどころか海外に住んだ経験もなく、初めて飛行機に乗ったのも30歳を過ぎてから。

にもかかわらず、60歳で会社を定年退職してからすぐに受けたTOEICでは満点を獲得。いまでは同時通訳までこなし、クライアントやエージェントからリピートの仕事や指名も入るのだそうです。

注目すべきは、著者が「仕事こそが、英語を身につける最高の機会だった」と明言している点。

50歳になったころ、勤めていた会社が海外メーカーの傘下に入ったため、必要に迫られて英語を学んだことがよかったというわけです。

だとすればそれは、多くのビジネスパーソンにも真似できるものなのではないでしょうか?

そこで、すぐに活用できそうな「仕事を通じて英語を身につける4つの勉強法」を見てみましょう。

■1:知識を最大限に増やす(活用する)

意識すべきは、知識を最大限に増やし、それを活用すること。その際、大きなチャンスになるのは、意外なことに2020年の東京オリンピック・パラリンピックだといいます。

今回のオリンピックの経済効果は、直接的なものだけでも数兆円にのぼるといわれています。

また政府も成長戦略のひとつとして「観光立国」を標榜しており、2030年には訪日外国人旅行者の数を3,000万人以上にすることを目標に掲げています。だとすれば、英語がもっと必要になるわけです。

そこで、まずは東京オリンピックについての知識を増やし、内容の理解を深めることに集中する。英語そのものの話とは関係なさそうですが、ここを充実させておくことが、のちのち役立つのだそうです。

なぜならコミュニケーションに大切なのは中身で、手段としての英語は虹的なものだから。「なんでも話せる英語」ではなく、「オリンピックについてなら話せる英語」を目指すという考え方です。

だからこそオリンピックに関心を持ち、インターネットを利用して知識の充実と内容の理解を図っていくべきだということです。

■2:仕事の語彙は、単語帳をつくっておぼえる

英語コミュニケーションにおいて、「語彙力」の果たす役割はとても大きいと著者はいいます。そこで大切なのは、みなさんそれぞれの仕事で使う単語を自分のものにしてしまうこと。そして、ここで意識しておくべきことがあるといいます。

それは、「単語が役に立つのは、話すときだけとは限らない」ということ。単語を知っているということは、「読む」「書く」「聞く」「話す」のすべてにおいて強みとなるのだそうです。

ちなみに、著者が実践しているという「単語力をつける5か条」は次のとおり。

(1)単語は出会ったときがおぼえるとき。そのときの場面に関連付けると記憶に残りやすい

(2)自分オリジナルの単語帳をつくる

(3)単語は隙間時間でおぼえる。単語帳をクリアファイルに入れて、常に持ち歩く

(4)クイックレスポンスが大事。自然に言葉が出るようになるまで鍛える

(5)単語学習は継続。何度もしつこく繰り返す。忘れることを気にしない

■3:「イメトラ」と「サイトラ」で、イメージを英語にする

通訳者の学習方法に、「サイト・トランスレーション」(sight translation  サイトラ)と呼ばれるものがあるそうです。書かれた原文(英語でも日本語でも)を目に入った単位ごとに頭からどんどん口頭で訳していくこと。

対する「イメージ・トランスレーション」(image translation イメトラ)は著者の造語だそうですが、頭のなかにあるイメージを英語にしていく方法。

相手にどう説明するか、めまぐるしく頭を働かせ、心のなかで、場合によっては小声で口に出し、話すことを練習するわけです。

まずは単語を洗い出し、情報を集めたら、次はそれを英語でいえるように練習するのが有効。最初はサイトラ、慣れてきたらイメトラで行うのがいいそうです。

■4:文法は、仕事のなかで試して磨く

知識、語彙、イメトラ・サイトラと並び、もうひとつ欠かせない学習項目が「文法」。

英語は通じさえすればいいので、文法は必要ないという考え方もあります。しかし基本的な文法知識がないと、「正しく」という部分があやしくなってしまうからだといいます。

そうなると文法書を読むことが重要な意味を持つことになりますが、そこにはポイントがあるのだとか。

つまり、あれこれといろんな文法書を読み漁るのではなく、よいと思ったものを、じっくりと腰を据えて読むべきだということ。同じ本を何度も読み返し、理解や記憶の深度を深めることが大切だという考え方です。

おぼえては忘れ、理解しては忘れるーーそういうものだと達観して繰り返せば、必ず身につくと著者は断言しています。

本書内では、これらの勉強法についてさらに具体的に解説されています。著者自身の体験がベースになっているだけに、説得力も抜群。英語力を身につけたい人は、ぜひ手にとってみてください。

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

※田代真一郎(2015)『「英語が話せない、海外居住経験なしのエンジニア」だった私が、定年後に同時通訳者になれた理由』ディスカヴァー・トゥエンティワン

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