コミュ障でクビ寸前だった営業マンが4年連続トップになれた方法

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2015.12.19

suzie.20151219

『これからの営業に会話はいらない – 「コミュ障」の僕でも売り上げNo.1になれた方法』(菊原智明著、ワニブックス)は、営業に関する本としてはきわめて珍しいタイプだといえるはずです。

タイトルからもわかるとおり、営業マンに営業力は必要ないといい切ってしまっているのですから。

不可欠な要素であったはずの世間話も雑談もヨイショも、すべてなくても大丈夫だといいます。

それだけではありません。コミュ障であったとしてもまったく問題なく、むしろいまの時代は、「コミュ障だからこそ営業がうまく行く」と考えているのだとか。

■成功してもいまだにコミュ障のまま

著者は営業コンサルタントとして活躍している人物。日本で初めて、大学で営業の授業をした講師としての実績も持っているそうです。いかにもやり手という感じですが、最初からうまくいったわけではなさそうです。

大学卒業後にトヨタホームに入社して、営業の世界へ。しかし自分に合う営業方法が見つからなかったため、7年もの間クビ寸前の苦しい時期を過ごしたというのですから。

7年もの長きにわたって苦難に耐えるというのは、そうそうできることではないはずです。その過程で精神を病んでしまったとしても、まったく不思議ではありません。

しかし底辺にいたにもかかわらず、その後、「自分でラクに楽しくできることだけをする」営業スタイルに変えたところ、4年連続トップの営業マンになったというのですから驚きです。

でも、それだけの実績を打ち立てて、いまだ「コミュ障」なのだというのです。

■プライベートを犠牲にしなくていい

営業マンには、過酷なイメージがあります。事実、プライベートを犠牲にして、毎日遅くまで仕事をしているという方も多いのではないでしょうか。

著者も営業マン時代には、「結果が出ないのは自分の努力が足りないからだ」との思いを抱き、朝から夜遅くまでお客様のところを訪問し続けていたのだそうです。

それも、99%はアポイントがとれないお客様への突撃訪問。

当然のことながら、それではうまくいくはずもありません。だから、なんの成果もないまま夜9時に会社に戻り、以後も毎日ため息をつきながら深夜0時すぎまでサービス残業を続けていたのだそうです。

■バリバリ活躍する営業は短命が多い

しかしなかには、同じように毎日夜遅くまで仕事をしながら成果を出している営業マンもいるもの。

同じようにプライベートを犠牲にし、ひきつった笑顔で「私は仕事が趣味ですから」などというようなタイプです。

でも著者の経験上、そういう人は決まって短命だったそうです。身体を壊す、精神的にやられる、離婚する、子どもが問題行動に走るなど、さまざまなことに足を引っ張られるということ。

そして気づけば営業成績もどんどん落ちていき、やがて寂しく辞めていくことに。

いくら一時的に結果を出せたとしても、最終的にそうなってしまったのではまったく幸せとはいえないはずです。

■打ち込めるものがある人は魅力的!

一方、長く活躍して結果を出し続けられる人もいるものだといいます。

なにが違うのだろうと思って著者が観察したところ、そういう人はプライベートを犠牲にしていないのだそうです。やることさえやれば、ダラダラせずにパッと切り上げるということ。

そしてそういう人は仕事以外にも、打ち込めるものや、まわりの人に語れるものを必ずといっていいくらい持っているのだといいます。

自転車レースをやっていたり、バンドで活躍していたり、いろいろですが、そういう人の話はおもしろいものだと著者はいいます。

なぜなら仕事とは違う世界のことを知っていて、自分にはないものの見方や考え方を持っているから。

■時間を大切にすれば成果につながる

だからそういうタイプの人の場合、お客様と話をしていても(自分からぐいぐい攻めなくても)、お客様の方から「もっと聞きたい」「この人、いろいろ知ってそうだな」と距離を縮めてもらえるのだといいます。

つまり、お客様と話をするとき、本で読んだ知識よりも、実体験に基づいた話の方が何倍も興味を持ってもらえるということ。

それだけではありません。仕事ばかりしている方がお客様が離れていって、プライベートの時間も大切にする方が、お客様がついてくるのだと著者はいうのです。

無理のないスタンスでいれば、必然的に、それが仕事の成果につながっていくというわけです。

「仕事が忙しくて趣味どころではない」

「趣味なんて特にない」

そういうのは簡単ですが、なにか小さなことでも仕事以外のことをはじめてみれば、必ず仕事でもいいことが起こるものだと著者は記しています。

実体験がベースになっていて、しかもソフトな語り口で書かれているので、無理なく読み進めることができるはず。

「突き抜けたい」営業マンは必読です。

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

※菊原智明(2015)『これからの営業に会話はいらない – 「コミュ障」の僕でも売り上げNo.1になれた方法』ワニブックス

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