200以上の優秀なプレゼンテーションに共通する「6つの要素」

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2015.12.20

suzie.20151220

ご存知の方も多いと思いますが、TED(テド=Technology Entertainment Designの略)とは毎年、世界レベルの大規模な講演会を主催している非営利団体のこと。

そして、これまでにも各界の著名人が招かれてきたことで知られるその講演会が「TED Conference(テド・カンファレンス)です。

過去にもビル・ゲイツ、アル・ゴア、ボノ、ジェームス・キャメロン、シェリル・サンドバーグら錚々たるメンバーがプレゼンを披露してきただけに、その動向に注目してきたビジネスパーソンも多いのではないでしょうか?

『TEDに学ぶ最強のプレゼン術』(アカッシュ・カリア著、月沢李歌子訳、SBクリエイティブ)は、プレゼンコーチの専門家である著者が、過去にTED Conferenceで開催されてきた数々のプレゼンを分析し、そのテクニックを解き明かしたもの。

TEDで評価を受けるためには、当然のことながら聞き手を引きつけることのできるトーク術が必要とされます。

そこで著者は、200以上におよぶ過去の優秀なプレゼンテーションを詳細に分析/研究し、「TEDトークで成功するための共通要素」を導き出したというのです。

なお、ここに示されている原則は、ベストセラー作家であるチップ・ハースとダン・ハースによる著書『アイデアのちから』(日経BP社)に基づいているものなのだとか。

というのもハース兄弟は同書内で、記憶に残るメッセージをつくり出すための6つの原則を紹介しているからです。

そこでさっそく、その6原則を確認してみましょう。

■1:シンプルであること

広告でもプレゼンテーションでも、メッセージはシンプルかつ明確なものでなければいけないといいます。

そのために重要なのは、コアメッセージを見つけること。他のすべてが忘れられたとしても、聞き手にひとつだけおぼえてほしいメッセージがあることが大切だということ。

そしてコアメッセージが見つかれば、それはプレゼンテーションでなにを伝えるべきかが明確になったということ。コアメッセージに関係ないことは、思い切って切り捨てるべきだそうです。

■2:意外性

すぐれたメッセージは、衝撃的で意外性があるもの。

そこで、プレゼンテーションで聞き手の注意を引きつけるためには、「期待を裏切ること」をいうのがいちばん。

とはいっても、単にウケを狙って「期待を裏切るだけ」になってしまっては逆効果。大切なのは、必ずオチをメッセージの一部にすること。この手法は、衝撃的な事実や統計値を伝えるときに使えるといいます。

たとえば健康的な食生活について話すときは、「ポップコーンは体に悪い」といってもあまり効果はありません。

しかし「ポップコーン1袋に含まれる脂肪は、1日の必要量に相当する」といえば聞き手はショックを受け、それを記憶に焼きつけるというわけです。

■3:具体性

『アイデアのちから』によれば、すぐれたメッセージは曖昧なものではなく、具体的なものなのだそうです。

つまりプレゼンテーションにおいて、「曖昧な言葉」を避けるべきだということ。細部を具体的に、明確に伝えることが大切なのです。

たとえば「数ヶ月前」ではなく、「2011年3月19日」という。

その方が、聞き手は瞬間的に理解しやすくなるということです。

■4:信頼性

メッセージは、信頼性が高くなければならないと著者は主張しています。

そしてプレゼンテーションに対する信頼を確立するための戦略のひとつが、得意分野について話をすることだといいます。

極端な例でいうと、自分が破産状態にあるのに「10日で億万長者になる方法」という講演をしたとしても無意味。主張するメッセージに、自分自身が従っていなければならないということです。

■5:感情

感情に訴えるプレゼンテーションは、聞き手に強い印象を与え、記憶にとどまるもの。

しかし、技術的な内容のプレゼンテーションにおいても、聞き手の感情を動かすことができるのでしょうか? その答えが、次の「ストーリー」につながっていくのだそうです。

■6:ストーリー

メッセージは、ストーリーによって伝えるのがベスト。聞き手の心を動かすためには、ストーリーが強力な手段になるということです。

なぜならストーリーは、聞き手の心をつかむ手法のひとつだから。そしてストーリーを語るときには、次の5つの要素が必要だといいます。

・登場人物(Character):ストーリーの登場人物を視覚化できるような情報を伝えること。

・葛藤(Conflict):聞き手は「次になにが起こるか」を知りたくなり、葛藤がいかに解消されるかに関心を抱くもの。

・救済(Cure):葛藤は、なんらかの方法で救済されなければならないということ。

・登場人物の変化(Changes in character):葛藤を経験し、それを克服した結果、登場人物がどのように変わったかを伝える。

・持ち帰るべきメッセージ(Carryout message):自分がストーリーを通じて伝えたいことはなにか?

これが、すぐれたプレゼンテーションを実現させるための6原則。

そこで本書ではさらに奥深く、プレゼンテーションを成功させるために必要な「構成」「話し方」「内容」などを紹介しているわけです。

現実的に、「プレゼンテーションが得意だ」と堂々といえる人はそれほど多くないはず。そのくらい、「伝える」ことは難しいわけです。

だからこそ、「より効果的に伝えたい」と感じている人にとって、本書は大きな力になることでしょう。

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

アカッシュ・カリア(2015)『TEDに学ぶ最強のプレゼン術』SBクリエイティブ

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