99.9%の人が未来予測を外す!残り0.1%の人がもつ力とは

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2015.12.21

suzie.20151221

『未来に先回りする思考法』(佐藤航陽著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者は、株式会社メタップス代表。

大学在学中の2007年に同社を設立し、2011年には人工知能を活用したアプリ収益化プラットフォーム『metaps』をスタート。

これまでに累計57億円の資金調達を実施し、東京、シンガポール、香港、台湾、上海、サンフランシスコ、ソウル、ロンドンの世界8拠点で事業を展開しているのだそうです。

そんな著者が本書で明らかにしているのは、「どんな状況にあっても未来を見通せる汎用的な思考体系」です。

いきなりこう聞いただけでは、具体的なことをイメージできないですよね。しかし、まず認知すべきは、「99.9%の人が未来を見誤る」という事実だと主張しています。

■飛行機も宇宙船も実現不可能?

「飛行機の実現までには百万年から一万年かかるだろう」

ニューヨーク・タイムズがこのような記事を掲載してからわずか数週間後に、ライト兄弟は人類で初めて空を飛んだのだそうです。

この話を当時の人々は笑ったといいますが、しかし彼らとてジャーナリストより賢かったわけではありません。

なぜなら野心に満ちあふれた人々が宇宙船の開発に取り掛かると宣言したとき、99.9%の人は「宇宙船なんて夢のまた夢だ」と切り捨てたというのですから。

そして未来を見誤るという意味では、現代を生きる私たちも過去の人々を笑えないと著者は指摘します。

たとえば、現在の日本では2,000万以上のユーザーが存在するFacebookが日本に進出したとき、多くの人たちが「日本人には実名で登録するSNSは流行らない」と否定したものです(おぼえている方も多いのではないでしょうか?)。

また、いまや多くの人が愛用しているiPhoneにしても、その発売当初には「おサイフケータイが使えない」「赤外線がないなんてありえない」といわれたものです。

■未来予測がだいたい外れる理由

では、なぜ私たち人間はこうも繰り返し未来を見誤るのでしょうか?

著者によればその原因は、人々の「思考法」にあるのだとか。

つまり人は、「いま目の前で起きていること」からしか将来のことを考えることができないということ。

ところが、現在の景色という「点」を見て考える未来予測は、だいたいにおいて外れるものだといいます。

FacebookやiPhoneの普及を多くの人が予測できなかったことが、その証拠。

なぜなら、現実は人間が認知できないほどの膨大な要素にあふれ、しかもそれらが複雑に影響し合うことによって社会を進化させているから。

それをすべて把握することは、人間の脳では不可能だといいます。

しかし、わずかながら驚異的な先見性を発揮して大きな成果を上げる人がいるのもまた事実。

たとえば、30代だった1980年代の時点で、個人がスマートフォンを持つ未来を予言し、それを実現させて見せたスティーブ・ジョブズがいい例です。

つまり彼は現在という「点」を見て考えるのではなく、長い時間軸から社会の進化のパターンを捉え、それを「線」としてつなげて意思決定をしているわけです。

いわば、未来へ先回りしていたということ。

■テクノロジーが時代を牽引する

未来に先回りできる0.1%の人たちを調べていくと、99.9%の人とはまったく違った思考法を用いて未来を見通していることがわかったのだそうです。

両者を分けているものとは、「パターンを認識する能力」。

なお、パターンを認識するにあたり、もっとも重要な要素となるのがテクノロジーだと著者はいいます。

なぜなら社会の進化は、いつの時代においてもテクノロジーが牽引してきたから。

テクノロジーと聞くと特別なもののように思えるかもしれませんが、たとえば古代人が使った石器も、数百年前の社会を根底からつくり変えた革命的なテクノロジー。

同じように貨幣も電気も、私たちの生活はいつでもテクノロジーの誕生によって書き換えられてきたというわけです。

そして、インターネットという新しいテクノロジーが、現在進行形で社会をデザインしなおしているのが現代。

インターネットの誕生からは20年が経過しましたが、いまはちょうど「変化への準備」が整った段階だというのです。

だから、インターネットが本当の意味で私たちの生活を変えていくのは、実はこれからだと著者は推測しています。

注目すべきは、テクノロジーが社会に与える影響力は、時間が経つほどに高まっていくということ。

だとすれば、進化のスピードが急速に上がった現代においては、テクノロジーに焦点を当てることが、社会の構造を理解するための近道であるはず。

そこで本書では、「もしも社会が進化するパターンを見抜いていれば、たとえ状況が変わっても未来を見通すことが可能になる」と考え、そのための汎用的な思考体系を明らかにしているわけです。

その視野は、テクノロジーの可能性やイノベーションのあり方はもちろんのこと、国家、政治、資本主義などさまざまな方向へと広がっていきます。

だからこそ、ここで明らかにされている思考法とその周辺の環境は、私たちが未来とつながっていることを実感させてくれるでしょう。

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

※佐藤航陽(2015)『未来に先回りする思考法』ディスカヴァー・トゥエンティワン

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