人は誰でも成功したいもの。でも、「成功本を読んだけど、いつまでたっても実現しない」「私みたいな凡人には無理!」なんて思っている人も多いのでは? たしかに、成功本を読んだからといって、誰もが成功するなんてことはありません。
そんななか、「やってみようかな」と思わせてくれるのが、『マンガでわかる「非常識な成功法則」』(神田昌典著、ぶんか社)です。
著者は、トップマーケッターとして知られる人物。多くの急成長企業の経営を育成する経営コンサルタントであり、数々の著作物を持つ作家でもあります。本書は、30万部を超えるベストセラーになった代表作『非常識な成功法則』をマンガ化したもの。
WEBデザイン会社に勤める34歳の女性が、『非常識な成功法則』にある「8つの習慣」を行うことにより、イタリア製革小物のオーナーとなって成功してゆくストーリー。ストーリー仕立てのマンガなので理解しやすく、無理なく頭に入ってきます。
そのなかから、「8つの習慣」を要約してご紹介しましょう。
■1:やりたくないことを見つける
まず、目標を紙に書きます。不安や怒り、我慢など、心の揺らぎを取り除き、本当にやりたいことを明確にするのです。そして「やりたくないこと」「やりたいこと」をリストアップしたら、目標を明確に絞り込みます。
■2:自分に催眠術をかける
寝る前にいいことを思い浮かべ、「私は○○できる」「私は○○になる」と自分で自分に暗示催をかけます。自己催眠を利用して、目標をより現実に近づけるのだということです。
たとえば「1年後に年収1000万円を達成する」というように、目標実現までの期間を設定。この短期目標を紙に書き、実現させるためには「これが必要」と思う目標を毎晩10個書き出します。
■3:自分に都合のいい肩書を持つ
自分を「凡人だ」と思い込んだままでは成功者になれないといいます。セルフイメージ(自分が思う自分)を変えることが成功への道。そこで、1、2で明確になった目標を実現できるよう、肩書をつけるのです。
「ウェブショップオーナー」や「実践マーケッター」など自分の都合のいいような肩書を書き出し、服装、髪型、持ち物などの外見も変え、新たなセルフイメージをつくり出します。つまり成功者らしく見せるように、外見や肩書でも自己催眠をかけるのです。
■4:非常識的情報獲得術をもつ
成功者に共通しているのが、大量の情報収集技術を持っていること。凡人だからと諦めるのではなく、成功者に倣って大量の情報をキャッチし、適切な処理能力を身につければ、強力な武器になるのだそうです。
そこで本書では、情報収集に重要な3つのテクニックが紹介されています。1つは大量の本を読む。2つ目は成功者の講演やコンサルティングのノウハウなどのCDを聴く「オーディオ学習法」、3つ目が、すぐれた人との出会いを大切にする環境整備です。
■5:殿様バッタのセールスを行う
目標実現のためには「いかに自分を高く売り込むか」が重要。セールスには、相手に頭を下げまくる「こめつきバッタのセールス」と、相手から「お願いします」と頭を下げられる「殿様バッタのセールス」の二通りがあり、後者がよいのだといいます。
こめつきバッタのように不特定多数にエネルギーを注ぐよりも、求めている人の情報をキャッチして営業したほうが効率がいいからです。また、自分の嫌なお客様は断ってもいいのだとか。気乗りしないまま取引を続けると、精神的ダメージのほうが大きいからです。
■6:お金を溺愛する
成功者となるために欠かせないお金のコントロールには、大切な原則が3つ。1つはお金に対する罪悪感を捨てて溺愛すること。「お金儲けに走る=卑しい」というお金に対する否定的なイメージを払拭し、お金そのものに愛情を持つのです。
2つ目は自分の年収は自分で決めること。自分がほしい年収の金額を紙に書いて持ち歩き、潜在意識に刻み込ませるということです。3つ目はお金が入ってくる流れをつくること。現金が毎月増えていくようなお金の流れをつくり出すのです。
■7:決断は思い切らない
成功者への道を歩むなかで選択を迫られるときがありますが、決断は急がないほうがよいそうです。「会社員では夢がかなえられないから、転職する」など、現状から夢の実現へといきなり飛躍するのは無謀。
ベストな決断を下すためには、「なにからやって、次になにをやろうか」という綿密なシナリオを描いていくことが大事なのだとか。「願望を叶えるためにはリスクを恐れてはならない」という世間の常識から外れた思考が、本書の非常識のポイントです。
■8:成功のダークサイドを知る
これまでの7つの習慣を実践すれば、自動的に成功に向かって歩み始めるといいます。しかし、その一方で病気、事故、人間関係などダークな影響を及ぼす影も少しずつ濃くなることを知っておくことが大事だといいます。
著者が、成功までの過程で重要だと感じたというものを紹介しましょう。
(1)完璧を目指さないこと
(2)家族を大事にすること
(3)稼いだお金を有効に使うこと
この3つです。
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それほど厳しいことではなく、「こうでなくてはならない」なんていう厳しい掟や鉄則もなし。「非常識」と謳っているわけですから、常識にとらわれたり、特別にがんばったりしなくてもいいのです。
著者自身も起業当初は、夢のまた夢ぐらいに考えて、
「独立2年でサラリーマン時の年収10倍を実現する」
「土地を購入し、社屋・住宅を建設する」
「ダイレクトマーケッターとして日本一の地位を築く」
の3つを目標に挙げたといいます。その結果、すべて達成していたというのです。女性が主人公のマンガなので、とても身近に感じられ、「私も!」という気持ちにさせられます。
(文/森美奈)
【参考】
※神田昌典(2015)『マンガでわかる「非常識な成功法則」』ぶんか社