8割の人は自分の声が嫌い!けれども声ひとつで人生は変えられる

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2015.12.28

SetsuInoue1

突然ですが、自分の声は好きですか?

毎日、自分や誰かしらの声を聞かない日はないですよね。なのに、ほとんどの人は、普段、声を意識することなく日々を過ごしているのではないでしょうか。そして、いざ、プレゼンや面接といった機会に直面すると、否応なく自分の声に向き合わされ、落ち込んでしまうことも……。

『8割の人は自分の声が嫌い 心に届く声、伝わる声』(KADOKAWA)の著者、山﨑広子さんは、十代の時に失声症になったことがきっかけで、声と向き合うようになりました。

その結果、「声にはその人のすべてが表れている」と確信するに至ったそうです。

さらに、声が変わることで、願いまで叶う、というのです。

声による開運、とはなんとも斬新です。いったいどういうことなのでしょうか。声を人生の味方にするにはどうしたらいいか、知りたくなってきませんか?

著者の山﨑さんにお話を伺ってきました。

■日本人女性の声の高さは世界一とその背景

山﨑さんによると、日本の成人女性の声の高さは世界一だそうです。この背景には、長らく女性が社会のなかで虐げられてきた日本独自の価値観があります。女性は「女性らしさ」を求められ、その結果、声は高い方が望ましいとされてきたというのです。

現代社会では男性と肩と並べて活躍する女性も多数いますが、山﨑さんが数年前に行った声の分析調査によると、「日本の若い女性の声は平均350~450ヘルツ」で、「先進国の中では信じられないくらい高い」ことがわかったというのです。

たしかに、テレビのなかでは女性タレントが「きゃあきゃあと判で押したようなつくり声」で騒いでいます。女性アナウンサーの声も、落ち着いた低音よりも、高めの人が多いですよね。

けれど、通常、声の高い人は、声帯・声道も短く、それと比例して身長も低いものです。現代の日本人女性の背が軒並み低いかといったら、そんなことはありませんよね。

これがなにを意味しているか、もうおわかりでしょうか。女性は現代でも声をつくっている人が大多数、ということです。

「つくり声を出すということは、クレーンで背中を吊り上げらながら歩いているようなもの。地面をしっかりと踏みしめて歩きたいのに、声は心身に反して、吊られて浮つく。見た目は普通を装っていても、内部はもがき続けている」女性たちを、山﨑さんは「クレーン女子」と命名します。

山﨑さんは、このクレーンに吊られたようなつらさを、いまは「クレーン女子だけでなく、クレーン男子、いやすべての年代」が抱えている、と分析します。

■自分の声が嫌いだと自己否定感も強くなる

山﨑さんが自分の声についての意識調査を行ったところ、約80%の人が自分の声を嫌いだという結果が出たそうです。その話を聞いた山﨑さんの中国人の友人は次のようにいったそうです。「中国人は10割が自分の声が好き」と。

これは笑いごとではないですよ。山﨑さんによると、「自分の声を嫌いな人は、自己否定感も強く持っていることがほとんど」だというのですから。

財団法人日本青少年研究所が行った調査によると、日本の中高生の自己肯定意識は諸外国の中で圧倒的に低く、「自分は人並みの能力がある」と答えたのはアメリカの55.6%に対して日本はわずか13%。

また自殺者の数も、未だに2万人台の後半で、15~39歳までの死因のトップは自殺です。

なぜ、これほどまでに日本人は自分の声が嫌いという人が多いのか、山﨑さんに伺ってみました。

「日本では教育やしつけのなかで、声の出し方を教えるということをしてきていません。その結果、声がその人自身を表現するとても重要な手段であり、他人と自分、社会と自分を繋ぐメディアだという認識があまりにも稀薄なのです」

たしかに、子どものころ、声の音量を注意されることはあっても、声の質や出し方について、教わった記憶はありませんよね。

■声ひとつで「理想の自分」も作っていける

山﨑さんによれば、日本の声に対する意識は欧米諸国とくらべて、100年も遅れている、ということです。

ということは、いい方を変えれば、これから日本が本格的に声に取り組むようになれば、ものすごい伸びしろを持っているということになりますよね。考えられる効果や影響をお聞きしたところ、「自己肯定感の向上につながる」とのこと。

さらに、山﨑さんは、つくりものでない「本物の自分の声(オーセンティック・ヴォイス)」が手に入れば、人生が変わるとまでいうのです。

「あなたが出している声はあなたそのものです。あなたが声を出し、その声があなたをつくるのです」

たとえば、汚い言葉を使うと、心まで汚くなってしまう気がしますよね。声にも同じことがいえるのでしょう。

本書のなかでは、学級崩壊寸前のクラスを担任していた女性が、自分の声を認識し、それを本来の声に戻していくにつれて、生徒たちが別人のように穏やかになった実例が挙げられています。

彼女が最初に出していた声は、彼女自身でさえ耳をふさぎたくなるようなヒステリックなキーキー声だったそうです。彼女がどのように自分の声を取り戻していったか、気になる方は、ぜひ本書をお読みください。

声は、声帯だけでなく、骨も筋肉も、いわば生きるためのさまざまな身体機能を使って出すのだと言います。つまり、身体機能が少しでも欠けたり、精神的に緊張やストレスがかかったりするだけで影響を受けてしまう繊細なものなのだそうです。

それにしても、声がそれほどまでの力を持っているとは知りませんでした。

「声には本質が表れます」という山﨑さんに、本質とはなにかとお尋ねしたところ、「生き方」という明確なお答えが返ってきました。

声は生き様ということですね。

(文/Kinkiii)

 

【取材協力】

※山﨑広子・・・国立音楽大学を卒業後、複数の大学にて心理学および音声学を学ぶ。音楽ジャーナリスト・ライターとして取材・執筆をするとともに、音声が人間の心身に与える影響について、認知心理学をベースに研究。学校教材の執筆も多く手がけ、NPO法人ミュージックソムリエ協会では音楽心理学の講師を務める。「音・人・心 研究所」創設理事。日本音楽知覚認知学会所属。

【撮影】

※Setsu Inoue

【参考】

山﨑広子(2015)『8割の人は自分の声が嫌い 心に届く声、伝わる声』KADOKAWA

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