きょうご紹介したいのは、『死ぬ気で行動する人にだけ運は必ず味方する』(早川勝著、かんき出版)。
外資系生保および大手生保のトップセールスマンとして、数々の実績を打ち立ててきたという著者が、運を味方につけるための術を明かした書籍です。
そう聞くと難しそうな論理が展開されるのだろうと思われるかもしれませんが、考え方は驚くほどシンプル。
なぜなら著者は、自分が実績を打ち立てることができたのは、「運」がよかったからだといい切っているのです。しかもそれは、誰にでもあてはまることだといいます。
ただし、“強運”を引き寄せるための大前提としてあるのは、死ぬ気で行動する力。
きょうは、数字に関連した第6章「お金×運」に焦点を当ててみましょう。
■ケチな人は運を逃がしてしまう
ケチなエゴイストは絶対に幸せになれない。直接的な言葉を用い、著者はそう断言しています。
お金を貯め込むことに執着しすぎてお金に縛られているようでは、一生お金の奴隷のままになってしまうという考え方。
ただし、それは節制や節約が悪いという意味ではありません。それどころか著者は、「倹約家はというのは、むしろお金の価値を正しく理解している人格者である」ともいっています。
つまり倹約を否定しているわけではなく、しかし、お金にも“消費期限”があるというのです。
生きたお金を世の中に還元しないと、幸せは金運とともに逃げていってしまう。ケチケチと貯め込み過ぎるとお金が腐ってしまい、お金が腐ると人生も腐っていくということ。
だから著者は、決してお金を無目的に貯め込んではいけないと主張しています。なぜなら、お金も人も、そして幸福も、上手に使ってくれる人のところへさらに集まってくる法則があるから。
消費期限を正しく守れる人々を中心にして、お金がどんどん流れ込む「金運スパイラルの法則」が存在するというのです。
■将来の自分に投資で仕送りする
そして、これからは自分に成長をもたらす投資を、惜しまずに続けることが大切だともいいます。
10年後、20年後の自分に「仕送り」するような気持ちで、ケチケチせずに投資することが大切だというのです。
それは、未来の自分に「これでもか」というくらいのお金が流れ込んでくる仕組みを、いまからつくっておくということ。
自己投資の目的とは、いま蒔いた種が将来になって花が咲く状態にすること。すなわち、お金とともに時間を使い、頭を使い、体を使い、そしてエネルギーを使うということ。
いわばお金を積み立てるように、“実体験を積み立てる”ということ。
目指すべきは“強欲じいさん”ではなく、未来の“花咲じいさん”だという著者の言葉には、強い説得力があります。
■大切なのは自分への貢献か否か
一方、見栄っぱりな気前のよさでしかない無駄づかいは、ケチよりもたちが悪いとも著者は指摘しています。
目的のない貯金は成長を止めてしまうけれど、かといって自己中心的な浪費ばかりをしていると、破滅を招くことになるとも。
いってみれば浪費と投資の違いは、「明るい未来が待っているか、待っていないか」だということ。
大切なのは、それが「自分への貢献」になっているのかどうか、よく考えて自己投資を続けること。
もしもそれが、自己満足に浸るだけの価値のない浪費であるのだとすれば、きっと未来の自分は喜ばないだろうといいます。
そこで、判断に迷うことがあったとしたら、「お金を使っているいまの行動に対して、『未来の自分』は喜んでいるかどうかを考えてほしい」と記しています。
*
数々の苦難を乗り越えてきたからなのでしょう。著者の主張はストレートで、ときには厳しさすら感じさせます。しかし、だからこそ説得力があるのです。
年のはじめにリスタートしたいと思っている方には、ぜひ読んでいただきたいと思います。
(文/書評家・印南敦史)
【参考】
※早川勝(2015)『死ぬ気で行動する人にだけ運は必ず味方する』かんき出版