マッキンゼー・アンド・カンパニーは、世界有数のコンサルティングファーム。出身者の多くが、各界で活躍していることでも有名です。
『マンガで読める マッキンゼー流「問題解決」がわかる本』(大嶋祥誉著、SBクリエイティブ)は、マンガを主軸とした構成により、マッキンゼーの問題解決の方法をざっと読んで理解できる書籍。
そして、マーケティングの基礎をも無理なく学べることもポイントとなっています。
きょうは同書のなかから、「競争戦略などで使われる『3C分析』」に焦点を当ててみたいと思います。
■「3C分析」はどう使えばいい?
「3C分析」は、競争戦略や市場参入戦略を考えるとき、一般的によく使われているフレームワークです。
「3C」とはCustomer(市場)、Competitor(競合)、Company(強み)とそれぞれの頭文字をとって簡略化したもの。
「市場はどうなんだろう?」「自社にはどんな強みがあるんだろう?」「競合はどうなんだろう?」という3つのCに分けて分析する手法です。
たとえば本書には、倒産の危機を迎えた地方の老舗和菓子店「清古堂」が登場するのですが、同店の状況を主人公は次のように分析しています。
・市場(Customer)=スイーツブームは続いているし、外国人観光客も増え、「和菓子」の市場は確実にある
・競合(Competitor)=和菓子をつくって実績を上げている他社は安価なものが中心
・強み(Company)=職人の高い技術
この分析をもとに、他社との差別化にもなる職人の高い技術を活かし、スイーツブームに乗れる商品がつくれないかと考えたわけです。
■3C分析も「MECE」も大切!
ところで問題解決について考えるためには、いつでも「MECE」(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)を意識することが重要。
簡単にいえば、「モレなく、ダブリなく」リストをつくることで、無駄をなくすことができるということです。
ムダ、ヌケ、ダブりがある状態では情報の整理は不可能ですし、だからこそ大切な要因なのです。
そして上記の「市場・競合・強み」という分析も、MECE感覚で考えることが可能。
逆にこうしたフレームがないと、自社のことばかりで競合のことを考えられなくなってしまうわけです。
すでに同じような商品があるとか、市場を見ていなくて、「そもそも、市場がなかったね」ということになってしまうということ。
■「3C」の視点を持つ重要性とは
3Cで見ていくことは、市場の変化が激しい昨今において、とても重要。
その例としてここでは、レコードプレイヤーの市場が取り上げられています。
きれいな音が出るように改善して販売したとしても、現在の市場においては「楽曲データを1曲いくらで買う」といった購入方法が中心になっています。
アナログ盤の人気が復活しているといっても、アナログレコード自体、一部のコアなユーザーにしか売れないものであることは事実です。
だとすれば、レコードプレイヤーを懸命につくったとしても、広く売れるとは考えにくいわけです。
レコードからCD、データというように大きな代替があると、その市場ではやっていけなくなるということ。
だからこそ3Cを利用し、市場をもれなくちゃんと見ることが大切だというわけなのです。
■定番の「4P」分析でわかること
さらに注目すべきは、マーケティングの代表的なフレームワークである「4P」。
製品(Product)、価格(Price)、どんな販売をするのか(Place)、売り方(Promotion)の4つによって、もれなくダブりなく、他社と比較したりして分析していくのです。
たとえば、ある商品のマーケティング戦略について競合と自社を比較する場合、
・商品はどうなの?
・価格はどうなの?
・どこで売ってるの?(店頭、卸、インターネット、訪問販売)
・プロモーションはなにをやっているの?
という4つの視点から分析し、もれなくダブりなく、検証ができるフレームワークだということ。
そうやって整理していくことによって、「どんな会社がどんな人を対象にどんな施策をしているか」がわかるのです。
また、ひいてはそれが、自社に足りないところ、差別化のために自社がやるべきこともわかるようになるということ。
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こうしたマーケティングの基礎が、わかりやすく解説されているところが本書のポイント。しかも実際にはマンガでわかりやすく解説されているため、さらに理解しやすいわけです。
(文/書評家・印南敦史)
【参考】