会社勤めをしていると、上司から理不尽なことをいわれて困ることもあるもの。
『Woman type』のアンケートでも、「上司への不満がある人」は74%、「上司の言動になぜ? と思ったことがある人」は69%にのぼっています。
ではそんなとき、どうすれば論理的に対処できるのでしょうか?
『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』(深沢真太郎著、日本実業出版社)によると、論理的思考を使って反論することで、相手の言動に矛盾があることに気づかせることが非常に重要なのだとか。
そこで、上司から理不尽な言動をされたときの対処法について、著者の深沢真太郎さんに詳しく教えていただきました。
■1:上司に大声で怒鳴られた場合は?
こんな反論はいかがでしょう?
「人になにかを伝えるときには、そんな大きな声を出さなくても聞こえますよ。
こういうときの声の大きさとその人の器の大きさは、反比例するという考え方もあります。孫正義さんだって、池上彰さんだって、落ち着いた声でゆっくり話すじゃないですか。部長も器の大きい人なのですから……」
なるほど、説得力のある意見ですね。
■2:上司の指示や意見がコロコロ変わった場合は?
こんなときには迷わず「私はいったい“何月何日の部長”の指示を優先すればよいでしょうか?」と聞いてみるのがいいと思います。極めて妥当な質問ですよね。
■3:上司に「クビだぞ!」と脅された場合は?
こんな反論はいかがでしょう?
「なぜ“これをやらないとクビだ”なのでしょうか。納得できるように論理的に説明してください。
いっそのこと、“クビにしなければならない人”の定義から教えていただけませんか? 私がそれに当てはまるのか、確認させてください。当然、それは他の人にも当てはまらないとウソですよね」
こうして反論されれば、上司もタジタジになってしまうかもしれませんね。
■4:上司に責任をなすりつけられた場合は?
こんな反論はいかがでしょう?
「責任の“任”は任せる、であり、任される、でもあります。少なくとも2者いなければ、“任”は成立しません。つまり、少なくとも任せる側と任される側、双方の問題なのではありませんか どちらか一方というのは、論理矛盾を生んでいます」
理不尽なことには、きちんと反論することが大切です。
■5:期日を守ったのに文句を言われた場合は?
たとえば、「3日以内に仕上げて」といわれたはずなのに、3日後に提出すると「もっと早く仕上げてくれないと困るよ」などといわれること、ありますよね。
そんな場合は、「“3日以内”という言葉の意味を正確に教えていただいてよろしいでしょうか」と聞いてみては? つまり、あなたの言葉の定義を明確にしてくれというツッコミです。適当な発言をしている人は、たいていこれで論破できます。
■6:自分がやっていないミスを上司に押しつけられた場合は?
こんな反論はいかがでしょう?
「たとえばサッカーでPK失敗できるのは、蹴った人だけです。確認ですが、私はPKを蹴っていませんよね? 蹴ったのは誰ですか?」
論理矛盾は、比喩を使って指摘すると効果的です。
■7:上司によくわからない指示を出された場合は?
たとえば「今日の13時から空けといて。理由? そんなの自分で考えればわかるだろう!」など、目的や理由がさっぱりわからない指示を出す上司、いますよね。
こういう上司には逆に「部長、明日の15時からお時間いただけますか。私のマネジャーですから、これ以上はいわなくてもわかってくれますよね」と伝えてみては?
■8:プライドの高い上司に「俺の顔をつぶさないでくれるか?」といわれた場合は?
こんな反論はいかがでしょう?
「申し訳ありません。でも、私は部長の顔よりも会社への影響のほうが心配です。部長も、そちらをお考えになったほうがよいのではありませんか? それとも、部長は会社よりも自分の顔のほうが大切なのでしょうか」
■9:上司から「ここの会社ではなく、どこか他の会社を見つけたら?」と言われた場合は?
こんな反論はいかがでしょう?
「逆に、この会社で働けるための条件を挙げてください。それを満たせば、このままで構わないということですよね。そして、私以外のみなさんは、いますべてそれを満たしているということになります。いったいどんな条件なのでしょう。ぜひ教えてください。まさか、私だけ例外なんておかしなことはあり得ませんよね」
極めて論理的な切り返しです。
■10:上司に「○○さんはみんなに嫌われているからね」と言われた場合は?
こんな反論はいかがでしょう?
「みんなって具体的に誰ですか? それって、“みんなも持っているからこの玩具をボクにも買って”と駄々をこねる子どもといっていること同じですよね。そもそも、誰にも嫌われていない人なんているんでしょうか、部長?」
最後は少しばかり皮肉をこめて。
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あくまで論理的思考をベースにした回答方法なので、実際の現場で使えるものと使えないものがあるかもしれません。
しかし、こう考えるだけで、論理的に矛盾した上司の発言を否定できることも事実。あなたも論理的な考え方を身につけて、理不尽さをはねのけていきませんか?
(文/渡邉ハム太郎)
【取材協力】
※深沢真太郎・・・BMコンサルティング株式会社・代表取締役/教育コンサルタント/多摩大学非常勤 講師/理学修士(数学)。
ビジネスパーソンの思考力や数字力を鍛える「ビジネス数学」を提唱し人財育成に従事。様々な大手企業の人財育成をサポートしており、日本全国の大学からも講義依頼が殺到。
担当した講義は100%リピート依頼がくる超人気講師でもある。著作多数。一部は海外でも翻訳され多くのビジネスパーソンに読まれている。公益財団法人日本数学検定協会「ビジネス数学検定」1級AAAは国内最上位。
【参考】
※ビジネス数学.com ビジネス数学の専門家・深沢真太郎の公式HP
※深沢真太郎(2015)『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』日本実業出版社