『なぜ、一流の男は肌を整えるのか?』(小野浩二著、あさ出版)の著者は、約18年間のキャリアのなかで、1万人以上のスキンケアに携わってきたというエステティシャン。
独立後はエステ業界での店舗コンサル、人材育成、スキンケアのセミナーなど、プロを育成するエステティシャンとしても活躍しているそうです。
そんな経験をもとにした本書から、「男のスキンケア」についての基本をチェックしてみましょう。
■男性のスキンケアの基本
男性の肌の特徴としては、次の3点が挙げられるそうです。
(1)皮質成分が多い
(2)角質が厚くなりやすい
(3)肌の水分量が少ない
そして、これらを踏まえた上で、化粧水、美容液、乳液、クリームなど、直接肌につける「スキンケア化粧品」を使いこなす必要があるというのです。
・化粧水
化粧水を使うことのおもな目的は、肌に水分を補い、うるおいを与える「保水」。
さらには、肌の調子を整え、あとから使用する美容液や乳液、クリームのなじみを高めるという役割もあるのだそうです。
・美容液
目的に応じ、さまざまな種類があるのが美容液。たとえば乾燥肌向けの「保湿美容液」や、美白を目的としたもの、あるいは肌のハリを取り戻すアンチエイジングを目的としたものなど、バリエーションもいろいろ。
目的別に必要な栄養素を肌に補填する役割があるので、スキンケアの肝ともいえる化粧品なのだと著者は説明しています。
・乳液、クリーム
乳液やクリームは、保湿のために大切。化粧水や美容液の効果を閉じ込め、水分の蒸発を防ぐ役割もあるのだといいます。
■スキンケアの4ステップ
スキンケアにとって重要なのは、次の4ステップ。
(1)洗顔 → (2)化粧水 → (3)美容液 → (4)乳液、クリーム
これを、朝、夜の2回実践することが重要なのだそうです。
男性の肌の特徴のひとつである皮脂分泌の多さには、ひとつの問題があります。皮脂は、汚れを吸着してしまうということ。
つまり、男性の肌は汚れているということになるのです。だからこそ、肌の汚れをしっかりと洗顔で落とすことが、スキンケアのスタートラインとなるわけです。
ただし勘違いすべきでないのは、「しっかり落とす」=「ゴシゴシ洗う」ではないということ。
ゴシゴシ強く洗うと、肌を痛めてしまうだけだから。また、顔の部位によっても洗顔法は変わってくるのだそうです。
■就寝中も顔は汚れている
なお、朝は水だけでしか洗顔しないという男性も少なくないはずですが、朝もしっかり洗顔料を使うべき。
なぜなら、寝ている間にも皮脂の分泌は行われ、空気中に飛んでいるホコリが顔につくことで肌は汚れてしまうから。
また、毎日枕カバーを取り替える男性は少ないかもしれませんが、取り替えない枕カバーはとても不衛生な状態。そこからも肌に汚れがついてしまうというのですから、なんとも驚きです。
そして朝の洗顔時は、まず手をしっかりと洗うことが大切。朝も、手には菌や汚れが付着しているからだといいます。
洗顔の際は、フェイスラインや生え際を意識して洗うことも重要。
朝は洋服を着たまま洗顔をすることが多いため、襟元が濡れないようにしようという意識から、フェイスラインの洗顔が甘くなってしまいがちだから。
同じように生え際も、髪の毛が邪魔になって洗い残しが多くなる部分。そこで朝の洗顔は、ヘアターバンなどを使用して行うといいのだそうです。
■一流男性ほど肌を整える
男のスキンケアと聞くと、それだけで抵抗がある方もいらっしゃるでしょう。ましてや「メンズエステ」に通っている男性というとナヨナヨしたイメージがしなくもありません。
ところが著者の経験上、実際にメンズエステを利用しているのは、体育会系の経営者や営業マンなど、エステとは縁がなさそうな人ばかりなのだとか。
相手に少しでもいい印象を持ってもらうため、クライアントとの商談前や取引先への営業前、大切な仕事の打ち合わせ前などに肌を整えるというのです。
つまり、ビジネスと真摯に向き合う一流のビジネスマンほど、印象をよくするために肌をケアしているということ。
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好印象を得るためにも、具体的なスキンケアの方法がイラストとともにわかりやすく紹介された本書を、ぜひチェックしておきたいところです。
(文/書評家・印南敦史)
【参考】
※小野浩二(2015)『なぜ、一流の男は肌を整えるのか?』あさ出版