ただ「がんばる」はNG!目標を立てる時に大切なのは数値&根拠

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2016.01.14

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『答えを探さない覚悟』(山元賢治著、総合法令出版)の著者は、日本IBM、日本オラクルなどで実績を積み上げた結果、スティーブ・ジョブズから「日本を元気にしてほしい」との命を受けたという人物。

かくしてアップル・ジャパン株式会社代表取締役社長兼米国アップルコンピュータ社セールス担当バイスプレジデントに就任し、iPodビジネスの立ち上げからiPhoneを市場に送り出すまで、国内の最高責任者としてアップルの復活に貢献したというのです。

50歳を機に同社を退社してからは、株式会社コミュニカを立ち上げ、21世紀の坂本龍馬を育てる「山元塾」を主宰されているそうです。

つまり本書においても、豊富な経験を軸として、人生に迷っている人に向けたメッセージを投げかけているわけです。

■アップルは日本で売れて当たり前と思われた

そんな著者は、ビジネスは「がんばります」だけでは通用しない世界だと指摘しています。

その証拠にアップル時代は、数字が多くを左右する「算数の世界」だったのだとか。

著者が日本市場のセールスを統括するようになった当時のアップルは、まだ量販店での評判がよくなかった時期。

製品の利益率があまり高くなく、「売ってもあまり儲からない」と考えられていたからだそうです。

また新製品の予告も日程の約束もしないため、急に製品が発表され、仕入れておいた付属品が全部破棄になるといった事態も。

営業担当者も少なく、世界で日本の売上貢献度は高くなかったといいます。

しかしそれでもアメリカの本社からは、「世界中で売れているのだから、日本で売れて当たり前」と思われていたのだとか。

アップル・ジャパンのオフィス内にも問題が山積し、著者が日本を任されてから半年間は、状況が好転しなかったのだそうです。

風向きが変わったのは、着任1年後あたりから。アップル製品は値引きをしないことで有名ですが、そんなアップル製品の販売でも利益を出してもらえるという数式をつくり、それを提示していったのだそうです。

その結果、それまでは店舗の奥にあったアップル製品の売り場が、徐々に前に出てくることに。

最初は嫌味ばかりいわれていたといいますが、数字で提案できれば理解してもらえるもの。

「すべて数字のなせるワザ」だと著者は記しています。

■すべての数字は「変数の組み合わせ」である

ちなみに、毎週朝5時から2時間連続で行われる電話での販売会議にも、必ず出席していたのだそうです。

毎週、「翌週には全国何百店舗でなにが何台売れる」というシミュレーションを高い精度で行っていたというのです。

「3年前のシミュレーションだと13.8%売上が上がる週だから」といったことをすべて数字で提示するわけです。

すべての数字は、絶対に変えられないベースと仮説、つまり変数の組み合わせだと著者はいいます。

なぜなら、もし数字を間違えて在庫が足りなくなったりしたら、量販店の売り場は一晩で他のメーカーの売り場に変わってしまうから。

逆に強気の販売予測をして在庫が余ったら、すぐにアメリカ本社の信頼を失うことになります。

だからあまりの緊張感に、著者は1年365日のうち300日は仕事の夢を見ていたといいます。

■どんなことも数値化するクセをつけるといい

そんな経験があるからこそ、著者はビジネスにおける数字の存在を強調しています。ビジネスにおける説得材料は、基本的には数字だけだともいい切っているのです。

ビジネスの現場においては、「たくさん顧客訪問をする」といういいかたは無意味だとも。

「1年で180回訪問します」といった数値と、その根拠を提示しなければ、評価する方もされる方もハッピーな結果にはたどり着けないという考え方です。

だからこそ、日常生活で目標を決めるときも、無理やりでもいいので数値化するクセをつけることが大切だといいます。

なぜなら人間は、本来怠惰なものだから。そこで、弱い自分を駆り立てるためにも、「がんばって歩く」のではなく、「2キロ歩く」と定めることが大切だという考え方。

そして数字にするだけでゴールが明確になり、心持ちも変わってくるだろうと結論づけています。

過酷なビジネス環境で戦ってきたからこそ、著者の数字に対する考え方には強い説得力があります。

そして緻密なバックグラウンドがあれば、どんなに困難な状況も乗り越えられるということを、本書は実感させてくれるでしょう。

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

※山元賢治(2105)『答えを探さない覚悟』総合法令出版

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