食品の安全性を見極めるには?実は「五感」を駆使する習慣が大切

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2016.01.15

suzie.20160115

『食品添加物ほんとうの話』(三輪操著、あさ出版)の著者は、相模女子大学栄養科学部管理栄養学科教授。

長らく食品添加物の研究に携わっているという実績の持ち主なので、次のような質問を受けることも多いといいます。

「添加物を取るとがんになるってほんとうですか?」

「健康によくないのにどうして使い続けるんですか?」

「コンビニ弁当は食べないほうがいいんですよね?」

しかし、これらの質問はすべて誤解や思い込みによるものなのだとか。

そして、偏った情報をそのまま受け入れてしまうことは、巷で危険だといわれている食品以上に危険だといいます。

では、家族の食や子どもの食について考えるとき、具体的になにを意識しておくことが大切なのでしょうか?

■根拠に基づいて目の前のことを考えよう

その点について、いちばん身につけてほしいのは「科学的な考え方」だと著者はいいます。

科学的な考え方とは、「根拠に基づいて目の前のことを考える」ということ。

とはいっても難しいことではありません。なにか問題が起きたとき、判断を迫られたとき、「根拠はなんだろう」と疑ってみるだけでいいということ。

こうした考え方を身につけておくと、情報に翻弄されることなく「なにが正しいか」をきちんと自分で判断できるようになるといいます。

これは食べものについてだけではなく、すべてのことがらについてもいえそうです。

食品添加物にしても、いろんな種類があり、それぞれ働きがあって、消費者にメリットがあるから使われているのだといいます。

たとえば、腐ったものや傷んだものを口にして体を壊さないように「保存料」や「防かび剤」が使われます。

食べものをおいしく見せるために「着色料」や「香料」が使われています。

「うま味調味料」は、料理にうま味を加え、塩分を抑えられるそうです。

「甘味料」は、甘さを感じながらもカロリーをぐっと抑えることができるのだといいます。

もしもこれらの添加物がなくなってしまったら、現代の食生活は成り立たなくなってしまうかもしれないと著者。

「食品添加物はあまり気にしなくていい」というのです。食品のことを考えるときにむしろ気にしていただきたいのは、塩分や糖分、カロリーなどのとりすぎ、そしてアレルギーだといいます。

■昔ながらのおばあちゃんの知恵を活かそう

お母さんやおばあさんの世代は、食品が腐っているかどうかを見極めるために、自分たちの嗅覚や味覚、視覚をフルに使っていたものです。

昨夜つくったお味噌汁の残りがあれば、匂いを嗅いだり、色を見たり、少しだけなめてみて「これはもうダメ」「全然傷んでいない」などと判断したわけです。そんな姿をみた記憶のある方も多いのではないでしょうか?

なぜそうしていたかといえば、多少の菌が繁殖しそうな場合でも、十分に加熱すれば菌は死に、体に害を及ぼさないということを経験的に知っていたから。

事実、菌の種類にもよるとはいえ、だいたいの菌は一度沸騰させれば死滅するそうです。

だからこそ昔は、毎日一度は日を入れて、何日も煮物を食べたりしたわけです。味は落ちるものの、火を通すことで腐敗を遅らせたのです。

いわゆる「おばあちゃんの知恵袋」です。

■ラベルや数字に頼りすぎないようにしよう

また、買いものに行けば、野菜や鮮魚、生肉をしっかりと目で見て、ときには匂いをかいだり、触って弾力を確かめたりして、鮮度を見極めたもの。

ところが最近は、鮮度の見極め方が様変わりしたように感じると著者は指摘しています。

自分の五感よりも、ラベルや数字を信じる人が多くなってきたということ。

だから消費期限や賞味期限が、できるだけ長いものを買うことになる。そして冷蔵庫のなかに期限の過ぎているものを見つけたら、封も開けずに処分してしまう。

つくってから時間が経ったものも、「1日経ったから、傷んでいるに違いない」と、匂いもかがずに処分してしまう。

でも、それではあまりにも数字に頼りすぎていて、食品に対しての判断が厳しすぎると著者はいいます。

著者の研究室にも、たとえば卵の賞味期限を見て、「来週の火曜日が賞味期限だから、その前に実験に使わないと」と心配するような学生が少なからずいるのだといいます。

しかし、そういう場合に著者は、「1日くらい過ぎたところで、そんなに変わらないから大丈夫」と使用を促すのだそうです。

それに数字やラベルだけに頼ってしまうと、食品ロスもどんどん増えていくことになります。

しかし、食品が安全かどうかを確認するため本当に大切なのは、五感を駆使して自分で感じたり、考えたり、判断したりすること。だからこそ、そうした習慣をつけることが大切なのだといいます。

たとえば問題になっている「トランス脂肪酸」についての真実など、本書には知っておきたいさまざまな情報が詰め込まれています。

食べものについての客観的な判断能力を磨くためにも、ぜひ読んでおきたい一冊だといえるでしょう。

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

※三輪操(2015)『食品添加物ほんとうの話』あさ出版

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