ただ「食べるだけ」の大食い選手権が20年以上も続いている理由

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2016.01.16

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テレビ東京の『元祖!大食い王決定戦』は、1989年にスタートし27年も続いています。

ただ食べるだけのこの番組が、20年以上も続いている理由はなんなのでしょうか? 人はなにを求めて、大食い番組を見るのでしょうか?

今回は、その理由に迫ってみます。

■1:人間の根源的な欲求を刺激

食は3大欲求のなかでもかなり強い欲求です。

そして唯一、テレビで放送することによって擬似的に満たすことができる欲求でもあるのです。

「思い切り食べたい」「満腹になるまで食べものを詰め込みたい」という思いは多くの人にあるもの。また日本人は世界でも肥満の少ない国民ですので、あまり思い切り欲望を開放して食べまくるということがない国民性でもあります。

つまり大食い番組によって、そんな欲求が擬似的に満たされることが大きいのでしょう。大食いタレントのギャル曽根が人気だったり、ニコニコ動画でただ食事しているだけの番組が人気だったりするなど、細い人が脅威の食事量をこなしていることに恐れおののき、人間の神秘に触れられるのも大きいでしょう。

あまり食べすぎない日本人ですが、その分、畏敬の念を持って大食い選手権を見ているのだと思われます。

■2:番組的なレア感

大食い番組は一時期、各局で放送されている人気番組でしたが、真似をした子どもが窒息死する事故が起きてからは自粛され、現在はテレビ東京のみの放送となっています。

そのレア感も相まって、細く長く続けられているのではないでしょうか。震災に影響で一時期は放送を休止したものの、その後人気を取り戻し、現在まで放送されています。

バブル期には多くの番組が制作され、内容も豪華でした。現在は早食いよりも大食いにシフトしており、事故を招く危険な早食いは禁止となっています。そういったルールも整備され、より安全に、より楽しく、大食いを楽しむスタンスが、番組の参加者や製作者側にも、そして視聴者側にも整いつつあります。

参加者全員に健康診断も行っており、健康状態に問題がある場合は参加が不許可になります。競技中も医師がついており、ドクターストップがかかることもあります。安全には最大限の配慮をしており、無理をしない、させない、競技を煽らないといった気遣いがなされています。

■3:見ている側の高揚感と安全への希求

食という根源的な欲求を満たすことを思う存分見ることができるので、グルメ番組はとても人気です。そして、味を問わずにジャンクなグルメやご当地フード、人気の食品を食べまくる大食い番組は、見ている側にも高揚感を得られる効果があるのです。

2014年~2016年は元旦に放送され、国別対抗で盛り上がりました。お正月から大食いを見ることで、平和な気分になれたことでしょう。

人には、自分が安全でありたいという代えがたい欲求があります。テレビをつければ戦争やテロや不景気や殺人事件が起こっているなか、安心してごはんをたくさん食べたいという潜在的な欲求が、元旦の大食い番組につながっているといえます。

大食い番組を見ている時間だけは、つらい現実を忘れられるのです。

ごはんを食べることがストレス解消という人も多いでしょう。ですがひとりが食べられる量には限界があります。常人の限界を超えて食べまくる大食いファイターを見て、ストレス解消、安全への希求、平和への渇望などが同時に満たされるのです。

■4:モラルの高い日本人の背徳感を刺激

また食べまくることで高揚感と背徳感が満たされます。肥満の少ない日本では、食べすぎはよくないこととされています。

それを堂々と合法的に、平然としていることに背徳感があるのです。この非倫理性も、モラルの高い日本人にとっては禁断の魅力となっているのでしょう。

■5:単純に見ていておもしろい

そして、「見ていて単純におもしろい」という側面があります。

「こんなに食べられるんだ」という驚き、そして興味。単純な好奇心と、衝撃。純粋に大食い番組はおもしろいのです。人間の極限に迫るスリルや興奮、リアル感、そしてウソがない迫真の表現などがリアルに迫ってくるからです。

毎回、衝撃的な驚きがあり、ゆるい番組とは違う“ガチな”リアリティに満ちているのです。

食べるという根源的な欲求に安全の欲求、そして倫理観。さまざまな要因が多重的に重なって、大食い番組を長寿化させています。そしてなにより、大食い番組は見ていて最高にストレス解消になり、ワクワクさせてくれるのです。

(文/渡邉ハム太郎)

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