世界最高評価5スターのANA社員が実践する「気づかい」のコツ

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2016.01.17

suzie.20160117

『仕事も人間関係もうまくいく ANAの気づかい』(ANAビジネスソリューション著、KADOKAWA)は、ANAホールディングスの100%子会社である「ANAビジネスソリューション」による著作。

社名からもわかるとおり、ANAグループのノウハウに基づき、研修事業や人材派遣事業を行っているのだそうです。ちなみに研修内容は、「接遇&ビジネスマナー」「ヒューマンエラー対策」「コミュニケーション」など。

つまり勤続20年以上の現役社員からOBまでにインタビューし、現場での努力を通じて人から人へと受け継がれてきた「口伝の技術」を初公開しているという本書は、ANA社員たちが実践してきた「気づかい」のコツを凝縮した内容だということ。

きょうはそのなかから、気づかいと時間との関係についての考え方を引き出してみたいと思います。

■具体的に言うことで安心を与える

タイムマネジメントは、自分のためだけにあるものではないと著者。つまり、「自分の接する相手が行動しやすくするため」という目的も含まれるということです。

また、自分のとる行動が相手の予定に影響を与える場合、相手への気づかいはとりわけ大切になるともいいます。

たとえば、みなさんが飛行機の乗客だったとします。パイロットから、この先、揺れが起きることを告げられたとしたら、次のどちらの方が安心できるでしょうか?

(1)「あと少しで、当機は揺れることは予想されます。この揺れはしばらくのあいだ続くことが予想されますので、化粧室のご利用などはいまのうちにお済ませいただけますようお願い申し上げます」

(2)「約10分後に、当機は揺れることが予想されます。この揺れは、20分ほど続くことが予想されますので、化粧室のご利用などはいまのうちにお済ませいただけますようお願いいたします」

この場合、わかりやすいアナウンスは(2)の方。なぜなら(1)の「あと少しで」「しばらく」とは違い、(2)では「約10分後に」「揺れが20分ほど続く」といった具体的な言葉が使われているから。

■悪い情報も誠実にオープンにする

通常とは異なることは、いつ、どのくらい起きるのか。人はそんな「わからない」という状況に大きな不安を抱くもの。

だからこそ、たとえ通常とは異なる出来事が起きるとしても、それが「いつ」「どのくらい」起きるのかがあらかじめわかっていれば、不安感を減らすことができるというわけです。

また、そうすれば「次になにをすべきか」が判断できるため、時間を有効に使うことも可能。

いい情報も悪い情報も誠実にオープンにすることが、信頼につながっていくということです。

なるべく具体的に見通しを伝えるという気づかいは、航空機のアナウンスに限った話ではないと著者はいいます。

たとえば、どうしても納期に間に合わせられないという場合、あるいは、どうしてもデートの約束に遅れそうだという場合も同じ。

「何日の何時までにはお届けしますので」とか「何分後には行くからね」などと、遅れるときこそ、相手になるべく具体的にイメージしてもらうことが大切だということ。

曖昧に「あとちょっとで着く」「少しだけ送らせていただけませんか?」といっても、相手はどうしたらいいのかわからなくなってしまうからです。

■予定の過少申告はしない方がいい

なお、この「予定を伝えるときは具体的に」という気づかいには、ひとつだけ注意点があると著者はいいます。

それは、「過少申告」をすべきではないということ。

たとえば、相手と10時に会う約束が、電車の遅れなどによって到着が10時30分になってしまいそう、というような場合があります。

そんなときは、「10時30分にはなんとか間に合う」と思ったとしても、「申し訳ないのですが、待ち合わせを11時にしていただけませんか」と、余裕を持たせて予定を伝える方がいいというわけです。

約束の時間に間に合わないとき、人は「なるべく相手によく思われたい」と考える成果、実現できるかどうか微妙な遅延時間を伝えようとしてしまいがち。

でも「10時30分にはなんとか間に合う」といっておきながら、実際の到着が10時45分になってしまえば、相手に「さらに遅れた」と悪いイメージが残ることになります。

一方、余裕を持って「11時にしていただけませんか」と伝えて10時45分に到着できれば、「以外と早く着けたね」と、遅刻のなかでも好印象を持ってもらえるかもしれません。

これは一例ですが、このような細かい気づかいが、ANAのサービスすべてに貫かれているわけです。

もともと「後発」の「弱小エアライン」としてスタートしたANAは、とにかく愚直に「お客様満足」を目指すことしか武器を持っていなかったのだといいます。

しかし結果的にその姿勢が、英SKYTRAX社による2013~2015年のエアライン・スターランキングにおける3年連続・世界最高評価「5スター」という実績にもつながったのだともいいます。

だからこそ本書を熟読すれば、同社の姿勢が生み出した「気づかい」のあり方を身につけることができるわけです。

(文/書評家・印南敦史)

 

【参考】

※ANAビジネスソリューション(2015)『仕事も人間関係もうまくいく ANAの気づかい』KADOKAWA

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