脳の謎がまたひとつ明らかに!人間は記憶を0.1秒で思い出せる

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2016.01.23

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「最近、なんだかいろいろなことを思い出すのに時間がかかる……」そんな経験はありませんか?

でも実は、記憶を呼び起こすのに必要な時間は、まばたきよりも速いたったの0.1秒なのです!

今回は『Daily Mail Online』が報じた、記憶の回復力について紹介します。

■人間は記憶をたった0.1秒で回復できる

これまでは「記憶の回復には1/2秒、つまり0.5秒ほどかかる」と言われていましたが、実はたった1/10秒、つまり0.1秒で回復可能なのです。

まばたきの1/3の時間。そのため、ほとんど感覚がないくらい速い時間だといえるでしょう。

ただし、どんな環境でもこれほど記憶の回復力が速いわけではありません。

研究者によれば、rTMS(反復経頭蓋磁気刺激法=磁気を用いて脳の特定部分を活性化する画期的な方法)でうつ病などの治療を行っている場合は、記憶の回復力も鈍るようです。

■記憶は意味記憶とエピソード記憶の2種類

記憶には、意味記憶とエピソード記憶の2種類があります。

意味記憶とは、言葉や世界についての一般的なことで、多くの人々に共有されている事実についての記憶です。

エピソード記憶とは、各個人に固有の「いつどこで何をどうした」といった個人的な記憶。これらはそれぞれ、別の回路を使って記憶されています。そのため、思い出すプロセスも異なっているのです。

■思い出すときに大切な領域は海馬と感覚野

ドイツのバーミンガム大学とルール大学の科学者は、記憶の思い出し方について調査するため、被験者の脳をスキャンしました。

科学者たちは脳波の動きから、記憶したり、思い出したりするときの脳のプロセスを研究。驚くべきことに、脳内で思い出そうとする動きが起きるとき、頭頂葉のなかでも感覚野の動きが急激に活発化したのです。

ここは、最初に記憶として脳内に書き込まれた場所。感覚野の初期活性化が、「思い出す」という行為にとって重要であると実証されたのは初めてでした。

バーミンガム大学のサイモン・ハンスルメー博士によると、特にエピソード記憶は個人的な内容なので、海馬内での検索にも時間がかかります。

海馬は脳の中心にある小さな領域で、記憶や空間認識と密接な関係があります。アルツハイマー病などの記憶障害で苦しむ患者に異常が見られる最初の領域のひとつです。

海馬や感覚野など、記憶にとって特に重要な脳内の領域も具体的に明らかになりました。

■記憶プロセス解明は精神病治療につながる

前述のように、rTMSを使用しているときは記憶の回復力が鈍りますが、今回の研究によって、磁石が記憶のプロセスも中断してしまうことがわかりました。

これは逆説的に、私たちが磁石など電子的な技術を使えば、意図的に「ある記憶を定着させない」ことを実現させる可能性を示唆しているのです。

ドイツのルール大学博士、ゲルト・ウォールドハウザーによれば、記憶が感覚野の休息な活性化に依存していることがわかったいま、記憶プロセスの解明にまた一歩近づくことができたそうです。

記憶の内容についても、不要な内容の記憶排除が可能になれば、精神病の解明や治療にもつながります。

人体は小宇宙とも比喩されますが、特に脳内にはまだまだ謎が残されています。多くの人々が脳内の謎の解明を心待ちにしていることでしょう。記憶の謎が明らかになれば、いつか物忘れもなくなるかもしれませんよ。

(文/スケルトンワークス)

 

【参考】

Your brain recovers memories faster than the blink of an eye: Retrieval happens FIVE times quicker than thought-Daily Mail Online

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